就労Bにとって良い支援とは?
STAFF TRAINING

就労Bにとって
「良い支援」とは?

パパゲーノ Work & Recovery の支援観

この研修の目的

1

就労継続支援B型の「役割」「限界」を理解する。

2

パパゲーノが目指す「Work & Recovery」の概念に基づいた、「良い支援」の考え方を共有する。

3

過去の困難事例を通じて、個人で抱え込まず「チームで対応する」ことの重要性を学ぶ。

4

利用者さんの権利擁護と、支援者の安全を守り自由に挑戦できる環境をつくるための考え方を理解する。

CONCEPT

ミッションと支援の定義

パーパス

「生きててよかった」と
誰もが実感できる社会

MISSION:リカバリーの社会実装

Work

他者貢献

Workの本質は「お金を稼ぐこと」だけではありません。実務やDX業務を通してお客さんや他者に貢献し、感謝されること。
支援を受けるだけでなく、「価値をつくる側」としての経験を重視します。

Recovery

自分らしさ

リカバリーとは、症状の治療ではなく「自分らしい生き方・人生を追求する過程」そのものです。
AI等のテクノロジーを用いて脳の機能障害を補い、個人の可能性を広げていきます。

PRINCIPLES

支援員が大切にしている7原則

1
「他者貢献 & 自分らしさの探求」を重視する。
2
利用者さんの「自分らしい生き方の回復」を第一に考える。
3
疾患名や属性でカテゴライズせず、その人を見て理解する。
4
PC作業だからこそ、通所時の挨拶や声かけも大切にする。
5
本人のいないところで勝手に決めない。
6
課題ではなく「できること」に目を向ける。
7
ルールを減らし、自由に挑戦できる環境・風土を作る。

背景にある理論

リカバリー

「労働者育成」のための支援ではなく、本人の「自分らしい人生の回復」に向けた支援を目指します。

ストレングスモデル

個人の「課題」や「できないこと」ではなく、「強み・得意・好き」に目を向けます。

社会モデル

障害は個人の心身にあるのではなく、その人が生きる「社会環境」の側にあると考えます。

IPSモデル

「挑戦したい」「働きたい」という想いがあるなら、能力等で判断し誰も排除しないことを前提とします。

バイステックの7原則

個別化、受容、非審判的態度、自己決定の尊重など、対人援助における普遍的な基本姿勢です。

ネットプロモーター経営

友達や家族に「心からお勧めしたい」と思える、価値あるサービス(NPS向上)を創り出します。

SUPPORT

支援とは何か?

『人を助けるとはどういうことか』エドガー・H・シャイン 著 より

支援者と被支援者の間には、無意識に「助ける側が上で、助けられる側が下」という非対称な関係ができやすくなります。 真の支援とは、まずこの「不均衡」を取り除き、対等な関係を築くことから始まります。

やってはいけない
支援

理想の押し付けや手厚くやってあげる(先回りして解決してしまう)ことは支援ではありません。

支援者が問題を肩代わりすると、本人が自ら経験し学ぶ機会を奪い、結果的に依存を生み出し、自己効力感を下げてしまいます。

パパゲーノが
目指す支援

就労Bにおける良い支援とは、本人が自律的に、良好な人間関係を築いていけるように伴走することです。

失敗できる安全な環境(枠組み)を用意し、本人が自らの力で関係性を調整し、問題に対処していくプロセスを信じて見守ります。

リバタリアン
パターナリズム

本人の「選択の自由(リバタリアン)」と、相手のためを思って介入する「パターナリズム」の間をとった行動経済学に基づく考え方です。

強制や禁止でコントロールするのではなく、理想的な行動に促しつつも、最後は本人が自分で決める(自己決定)ような環境のデザインを目指します。

CASE STUDY

実際にあった事例

過去に実際にあった困難事例をもとに、B型の役割と限界を考えます。

CASE A

「電話が止まらない…」
支援者の疲弊を防ぐ適切な距離感

発生した事象

特定の利用者から、毎日電話で相談や不満、恐喝を2,3時間ほど聞かされることが継続し、対応したスタッフが疲弊してしまった。

対応方針

「本人のいないところで勝手に決めない」原則に基づき面談を実施。一方的に切るのではなく、双方合意のもとで「1日〇分まで」といったルール(枠組み)を設定する。

支援の視点

支援者の疲弊は不適切なケア(虐待等)の引き金に。要求にすべて応えることが良い支援ではなく、適切な距離(バウンダリー)の設定が結果的に利用者の権利擁護に直結します。

CASE B

「サインしたくない!」
制度の壁と本人の不安への向き合い方

発生した事象

反社会性パーソナリティ障害の背景がある方で、受給者証の提出や個別支援計画へのサインを拒まれてしまった。

対応方針

  • 「属性でカテゴライズせず」、不信感や不安を丁寧に聴取。
  • 計画が「管理」のためではなく「リカバリー」のためと伝える。

ジレンマと限界

福祉サービスは対等な契約であり無理強いはできませんが、サイン等がないと利用できないという「制度の限界」については、曖昧にせず毅然と・丁寧にお伝えする必要があります。個別の事情を自治体に説明することで、個別支援計画未作成減算の対象外になることもあるので、自治体にも相談しながら慎重に対応を進めます。

CASE C

「あのスタッフは嫌だ!」
個人攻撃からチームを守る方法

発生した事象

強烈なトラウマが背景にあり、特定のスタッフに対して個人攻撃のようなコミュニケーション(暴言や執拗な非難)が取られるようになった。

チーム支援の徹底

個人の問題と捉えず「チームの問題」として扱います。対象スタッフの安全とメンタルを守ることを優先し、担当交代やローテーションを含めた方針をチームで検討します。

原則の適用

「課題ではなく『できること』に目を向ける」。コミュニケーションの課題を真正面から矯正するのではなく、集中できる作業の環境調整を行い、落ち着きを取り戻せるよう支援します。

例外対応

「福祉の限界」を超えた緊急事態への対処

以下のケースは福祉施設の権限・能力を超えた「例外的な危機介入」です。事業所単独で抱え込まず、速やかに警察・医療等の外部と連携します。

暴力行為への対応

事象: 入院を抜け出し来所、スタッフをヘッドロック。

【対応】身体の安全確保を最優先とし、ためらわずに警察へ通報する。必要に応じて杉並区・東京都へ事故報告を提出。

意識を失った方への対応

事象: 解離性同一性障害の方が解離し意識を失う。

【対応】素人判断せず、医療的緊急事態として救急搬送(119番)を行う。

自傷・オーバードーズへの対応

事象: 自宅でODしたと電話あり。自宅へ急行。

【対応】生命の危機が迫る例外的な介入。本来は家族・主治医・救急の管轄。

著しい他者の権利侵害への対応

事象: 他のテナントに無断で侵入してしまった。

【対応】「自由に挑戦できる環境」は他者への配慮が前提。是正困難な場合は利用をお断りする。

QUIZ

ミニクイズ

日々の支援や情報セキュリティに関するクイズです。質問をクリックして正解を確認してみましょう。

Q1. 無料AI(ChatGPT等)に入力してはいけない「要配慮個人情報」とは、具体的にどのような情報ですか?
A.

利用者の氏名、病歴、相談内容など

無料のAIツールは入力データがAIの学習に使われるリスクがあります。個人情報を扱う場合は、学習データに利用されず安全が担保された「AI支援さん」等の指定ツールを使用してください。

Q2. AIで支援記録の文章を作成しました。そのまま保存する前に必ずすべきことは何ですか?
A.

出力内容が事実と相違なく、適切であるかを確認・修正する

AIは嘘(ハルシネーション)をつくことがあります。AIを「最終判断者」にせず、必ず人が内容に責任を持ち、ファクトチェックを行うことが重要です。

Q3. 業務ファイルを、個人の「マイドライブ」やPCの「デスクトップ」に保存しても良いですか?
A.

NG。必ず「共有ドライブ」などのクラウド環境に保存する

ローカル保存は、PC紛失・故障・ウイルス感染時に情報漏洩やデータ消失の大きなリスクとなります。業務ファイルは、必ず組織で管理されたクラウド環境(Google共有ドライブ等)に保存してください。USBメモリへの保存も厳禁です。

Q4. 支援方針に迷ったり困難なケースに直面したとき、まずは自分で対応方針を決めて解決すべきですか?
A.

NG。個人で決めず、チームで(夕会などで)検討する

支援は一人で行うものではありません。迷ったときこそ、ためらわずにチームに相談してください。上手くいってもいかなくても、それは個人のせいではなく「チームの責任」として共有します。

Q5. 利用者さんから長時間の電話相談が来ています。本人のためを思い、話が終わるまで傾聴することが「良い支援」ですか?
A.

NG。適切なバウンダリー(境界線)を設定することがお互いを守る

要求にすべて応えスタッフが疲弊してしまうと、結果的に不適切なケアに繋がるリスクがあります。面談等を通じて「1日〇分まで」「〇時まで」といったルールを合意し、適切な距離感を保つことが持続的な良い支援につながります。

SUMMARY

良い支援者とは?

最重要

チームで決める

支援の方針や困難事例への対応は、個人で抱え込まずに必ず「夕会」でチームとして検討・決定します。
上手くいってもいかなくても、それは個人のせいではなく「チームの責任」として共有します。

限界を知り
連携する

B型単独ですべてを解決しようとせず、自治体のケースワーカー、グループホームや相談支援事業所など、関係機関と連携できる支援者が、結果的に利用者を守ります。

自律を
信じる

何でも手伝ってあげること=良い支援ではありません。
本人が自らのペースで課題に向き合い、試行錯誤しながら解決していくプロセス(リカバリー)を信じて見守ります。

皆さんへの問いかけ

今日の研修を踏まえ、明日からの支援でどう行動するか、ぜひ少しだけ考えてみてください。

Q1

あなた自身が支援をしていて「限界」を感じたとき、ためらわずに「夕会で相談しよう」と思えるチームを作るために、あなたには何ができそうですか?

Q2

良かれと思って「先回りしてやってあげてしまう」ことはありませんか? 「待つ支援」「伴走する支援」に切り替えるには、どのような意識が必要でしょうか。

Q3

明日、利用者さんと接するとき、「課題」ではなく「できること」に目を向けるために、どのような言葉や挨拶をかけますか?

Q4

あなたにとって
「良い支援」とは何ですか?

ご自身の言葉で表現してみてください。

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