書籍「生成AIで変わる障害者支援の新しい形」

生成AIでアサーティブなコミュニケーションを実践しよう【ChatGPT×アサーション】

パパゲーノ Work & Recovery(就労継続支援B型)では、利用者のみなさんのコミュニケーション力を高めるための勉強会を開催しています。今回はパパゲーノ Work & Recovery 職業指導員・林 驍伶さんを講師に「生成AI(ChatGPT)を活用してアサーティブ・コミュニケーションを練習する方法」を学びました。勉強会の内容をご紹介します。

アサーティブ・コミュニケーションとは

アサーティブ・コミュニケーションは、「自分も相手も大切にしながら率直に気持ちを伝える」自己表現のスタイルです。一般的に、自己表現のタイプは以下の3つに分けられることが多いと言われています。

  • 非主張的(受け身):自分を否定してしまいがち
  • 攻撃的:相手を抑え込む、もしくは否定してしまう
  • アサーティブ:自分も相手もOKと考え、丁寧かつ率直に伝える

アサーティブな姿勢を身につけることで、仕事や日常生活でのコミュニケーションをスムーズにし、相手との信頼関係を築きやすくなります。

生成AIをコミュニケーションに使うメリット

今回の勉強会では、生成AIの一種であるChatGPTを活用しました。AIをコミュニケーション練習に取り入れることで、以下のようなメリットがあります。

客観的な提案が得られる

AIは感情に左右されず、冷静に別の視点や言い回しを提示してくれます。

シミュレーションができる

実際には起こっていない場面でも想定シナリオをAIと対話しながら練習できるため、いざというとき落ち着いて対応できます。

相手を傷つけない伝え方を学べる

言葉の選び方をAIに相談することで、攻撃的になりすぎない・嫌味に聞こえない適切な表現を見つけやすくなります。

文章チェックがいつでも可能

ビジネスメールやSNS投稿を送信する前に、言い回しや敬語表現をAIで確認し、失礼のない文章づくりをサポートできます。

3. 具体的な活用例1:伝えにくいことを柔らかく伝える

勉強会では、上司への指摘や飲み会の場から早退したいときなど、「言いづらい・伝えづらい」シチュエーションを想定し、チャット形式でAIに相談してみました。

上司に誤解で叱られた場合

「報告済みなのに、報告が遅いと叱られた」という場面を想定。ChatGPTに相談すると、以下のような柔らかい言い回しの提案が得られました。

「昨日の夕方にメールを送信したのですが、届いていなかったでしょうか。念のため、再度ご報告いたしますね。」

先輩のやり方が非効率だと感じた場合

「ツールを使えば一瞬で終わる仕事を、手入力するように言われてしまった」というとき、真っ向から指摘するのではなく、提案型の伝え方がおすすめです。

「少し気づいたことがあるのですが、一度このツールを試してみませんか?効率が上がるかもしれません。」

飲み会で体調が悪くなった場合

周囲が盛り上がっている中で帰りづらいときでも、体調不良は無理せず伝えることが大切です。

「楽しいところ申し訳ないのですが、少し体調が悪くなってしまって……今日は先に失礼しますね。」

4. 具体的な活用例2:自分の言葉をチェックしてもらう

自分では「親切なつもり」「丁寧なつもり」で書いたメールやメッセージでも、相手によっては命令口調や上から目線に感じられるかもしれません。ChatGPTに以下のような使い方をすることで、印象をチェックできます。

ビジネスメール添削

例:「資料を送ります。確認お願いします。」

ChatGPTの提案:

「資料をお送りしますので、ご確認いただけますと幸いです。」

声かけや励ましの言葉を相談

例:「分からないことがあれば聞いてくださいね。」

ChatGPTの提案:

「もし気になることがあれば、いつでも声をかけてくださいね。」

自分の表現を一度客観的に見直すだけで、相手に与える印象が大きく変わります。

5. 気持ちの整理に役立てる:受け取った言葉をAIで振り返る

また、言われた側として「ショック」「悲しい」「モヤモヤする」という気持ちを整理する際にも生成AIが活躍します。たとえば、資格試験に受かったことを報告したら、*「その資格って誰でも取れるよね」*と言われた場合など、相手の心ない言葉に傷ついたときにAIへ相談すると、自分の感情を客観視するきっかけになります。

事実と気持ちを切り分ける

「私の努力は自分が1番知っている」という前向きな認識を取り戻す。

相手の発言は相手の価値観にすぎない

人の評価がどうあれ、自分が頑張った事実は変わらない。

AIに相談すると、共感メッセージやセルフケアのヒントも返してくれるため、自己否定感から抜け出す一助になります。

6. まとめ

今回の勉強会では、職業指導員・林さんの指導のもと、「アサーティブ・コミュニケーション」×「生成AI(ChatGPT)」を活用するメリットや具体的な使い方を学びました。アサーティブに伝える力は、就労支援だけでなく日常生活や人間関係にも大いに役立ちます。

  • 自分も相手も大切にする姿勢を忘れずに
  • 言葉の選び方をAIでシミュレーションしてみる
  • 気持ちの整理も含め、いつでも相談できる相棒としてAIを活用する

パパゲーノ Work & Recoveryでは、今後も利用者のみなさんの社会参加や就労に役立つ講座や勉強会を企画しています。アサーティブに自己表現するスキルを身につけたい方は、ぜひお気軽にご参加・ご相談ください。

パパゲーノ Work & Recovery 自己学習の5つのコツ AIに対する援助要請力を高めて、障害があっても自分らしく生きる【パパゲーノ Work & Recovery ふきさん】
パパゲーノで働きませんか? 見学の申し込みはこちら!