障害当事者や家族、福祉関係者、地域の人が“暮らしのリアル”を持ち寄る交流企画「せいかつお見合いカフェ」。2025年9月に全3会場で開かれ、最終回は「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」で開催されました。車いすでの移動や一人暮らし、制度の壁まで率直な声が飛び交い、その場の気づきは「顔認証で改札を通過できる仕組み」の検討など行政・企業の動きへと波及。「話せば何かが起こる」を体感した、手ごたえある一日をレポートします。
開催概要
本イベントは〈玉川地域支援協議会〉が主催し、障害当事者やご家族、福祉関係者が集まり、日常生活の体験や課題を共有する場として企画されました。全3会場で順次開催され、その最終会場として パパゲーノ Work & Recovery 用賀 でも実施されました。
せいかつお見合いカフェとは?
「せいかつお見合いカフェ」は、障害当事者やご家族、福祉事業所、地域の方々が気軽に集まり、“暮らしのこと” “日々の困りごと” “社会への期待” などを自由に語り合う交流の場です。
カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、
- 日常生活での工夫や悩みを共有する
- 支援や制度についての情報を知る
- 地域の人や支援者と新しいつながりをつくる
といったことを目的にしています。「話せば何かが起こるかもしれない」――そんな期待とワクワクが込められた取り組みです。
開催日時
今回の「せいかつお見合いカフェ」は、2025年9月に3会場で開催されました。
- 9月16日(火) 2Co house
- 9月16日(火) たまよんガーデン
- 9月20日(土) パパゲーノ Work & Recovery 用賀
当日の様子
当日は2つのグループに分かれて、自由なフリートークが行われました。
「え?車椅子ってそんなに高いの?」
「障害者が一人暮らしするって、本当に大丈夫?」
といった率直なやりとりに驚きや笑いが交じり、会場は活気に満ちていました。お茶やお菓子も用意され、リラックスした雰囲気の中で交流が深まりました。


話し合われた主なテーマ
- 日常生活の困難と工夫:暑さ対策や車椅子利用者の体調管理の工夫など。
- 交通機関利用の課題と工夫:大規模駅での待ち時間や事前予約の不便さ、一方で渋谷駅ではLINE連携の工夫が共有されました。
- 一人暮らし・ヘルパー探し:複数の事業所を組み合わせて生活を支える現実や、ヘルパー確保の難しさが語られました。
- 地域での支え合い:お店で顔なじみになることでスロープが設置された事例や、あいさつ・声かけの大切さが話題に。
- 福祉用具と制度の課題:高額な海外製車椅子、日本の補助制度の制約、海外との格差に関する意見。
- 社会制度と発信の重要性:「小さな声を集め政策につなげること」の大切さが改めて強調されました。
参加者の声
普段は聞けないリアルな体験談が心に残った
制度の壁だけでなく、人とのつながりが大事だと感じた
またこのような場があれば参加したい
会場の声が行政と企業の新しい動きへ
「せいかつお見合いカフェ」発の対話から、行政や企業も早速動きを見せています。
会場で「電車に乗るのに車椅子で改札を通るのは大変!」という意見がでました。
実際に車椅子から手を伸ばしてPASMOやSuicaをタッチするのは一苦労です。
高速道路のETCみたいに車椅子で改札を通過できたらいいのに…。
「車椅子ユーザーがよりスムーズに改札を通過できる顔認証システム」
この何気ない一言が発端で、現在行政関係者や鉄道事業者の間でも検討が進みつつあります。
10月中には、世田谷区議会議員と当事者による意見交換の場が設けられ、
現場での課題や実現に向けた可能性について話し合われる予定です。
さらに嬉しいことに、この会で生まれた話題はすでに東急電鉄グループの役員の方にも届いています。
現場の声が企業の検討テーマとして共有される流れが生まれており、この想いが社会の仕組みへとつながっていく兆しが感じられます。
会場で交わされた“リアルな声”が、行政・企業の双方に届き、今後の社会的な変化へとつながるきっかけになりつつあります。
まさに「話せば何かが起こる」を体現する、うれしい広がりです。
“小さな声を 大きなちからへ”
私たちの願いです。
この取り組みの大きな原動力となっている
世田谷区障害者就労支援センターゆに(UNI)和田センター長に心より感謝申し上げます。
まとめ
「生活お見合いカフェ」では、交通や生活インフラ、住宅やヘルパー探し、地域とのつながり、制度や技術革新への期待など、多様なテーマが語られました。
会場は終始活気にあふれ、「話すことで新しい気づきが生まれる」ことを参加者全員で実感する時間となりました。全3会場を通じて多くの出会いや学びがありました。
これからも、地域と福祉をつなぐ取り組みを継続してまいります。

