在宅で暮らす高齢者や家族の暮らしを支えるケアマネジャー。訪問後の記録作成や書類業務に追われ、残業が常態化してしまう現場も少なくありません。
社会福祉法人 三育ライフ「シャローム南沢居宅介護支援事業所」では、音声の文字起こしや記録作成をサポートする「AI支援さん」を導入し、業務時間の短縮と利用者支援に充てられる時間確保を実現しつつあります。今回は、ケアマネとして約35名の利用者を担当する沖山さんと、マネージャーの一木さんに、AI支援さん導入の経緯と具体的な変化を伺いました。
シャローム南沢とは?
シャローム南沢居宅介護支援事業所は、東京都東久留米市にある居宅介護支援事業所です。
要介護認定を受けた方々に対して、ケアプラン(介護計画)の作成を行い、介護サービスを提供する各事業者との調整・連携をサポートしています。利用者一人ひとりの状況やニーズに合わせた介護サービスが受けられるよう、橋渡し役としてお手伝いをしています。
| 事業所名 | シャローム南沢居宅介護支援事業所 |
| 公式ホームページ | https://www.shalom-tokyo.net/main/information-2/koureifukushi/minamisawa-kyotaku/ |
| 住所 | 〒203-0023 東久留米市南沢 5-18-36 |
| 電話番号 | 042-467-1620 |
| FAX | 042-477-2080 |
| 事業所番号 | 1374800132 |
| 運営法人 | 社会福祉法人 三育ライフ |
事業所紹介とケアマネジャーの仕事内容

まず簡単に自己紹介をお願いします。

シャロームには6年ほど前から勤務しており、在宅のケアマネジャーとして担当区域を回っています。
私を含めてケアマネ3名体制です。1人あたり約35名の利用者さんを担当しています。
担当の地域は自転車で10〜15分程度の範囲です。
社会福祉法人 三育ライフとしては、特別養護老人ホーム、デイサービス、ホームヘルプ、地域包括支援センター、ショートステイのほか、別拠点でもデイサービス事業を行っています。

居宅介護支援事業所ケアマネジャーの仕事内容と1日の流れ

ケアマネのお仕事の1日のスケジュールを教えてください。

朝に事業所全体で申し送りをして、そのあと午前に1〜2件、午後も1〜2件ほど利用者さん宅を訪問します。
訪問がない時間は、記録作成や各事業所との連絡調整を行っています。

訪問の際は、具体的にどんなことをされているんでしょうか?

利用者さんの生活の困り事、例えばトイレが大変、食事作りが難しい、入浴が負担になっているといった点を聞き取り、必要な介護サービスを紹介し、利用につなげるための調整を行うのが主な役割です。

ケアマネージャー業務で残業が多かったことがAI導入のきっかけ

「AI支援さん」を知っていただいたきっかけは何だったのでしょうか?

ちょうど1年ほど前、世の中でAIブームと言われていた時期に、「音声を録音して文字起こししてくれる」という機能に注目したのがきっかけです。
ケアマネの仕事は記録作成の負担が非常に大きく、訪問後にメモを見ながらパソコンで記録を打ち直す作業にどうしても時間がかかっていました。

なるほど。
記録が積み重なると、どうしても勤務時間や働き方に影響が出てきますよね。

そうですね。記録に時間を取られて労働時間が伸び、残業も増えてしまう状況がありました。
そこで、記録にかかる時間を少しでも短くしたいという思いから、AI支援さんの導入を検討しました。
インターネットで検索して見つけたのがきっかけです。
最初は「録音→文字起こし」に慣れなかった

3名のケアマネさんでAI支援さんを導入されたとき、どんな反応でしたか?

最初は「録音→文字起こし」の操作に慣れなくて、うまくいかないこともありました。
でも、利用者さんやご家族の同意を得て録音してみると、「自分は何を質問し、どんな回答を得たのか」が客観的に確認できて、振り返りにも役立つことが分かりました。

その後はうまく導入できましたでしょうか?

はい。使ううちに操作にも慣れてきて、今では3名ともスムーズにAI支援さんを活用できている状況です。
AI支援さんを導入して1年で残業時間を大幅削減

AI支援さんを導入して、どんな変化がありましたか?

まず、面談中に細かくメモを取らなくてよくなりました。
録音しておけば、戻ってから内容を正確に振り返れるので、その場は利用者さんやご家族の話に集中できます。

事務作業にかけてた時間は削減できたと実感していますか?

記録作成の時間はかなり短くなりました。
職員の中には、「1時間以上かかっていた記録が30分程度になった」という人もいます。

半分くらいになったのですね!それは良かったです。

そのため残業時間も大幅に削減されました。
令和5年度に比べて、昨年度は残業時間が大幅に減りました。
記録で時間外労働をするにことが少なくなりましたね。
訪問の記録をスマホで録音しAI支援さんにアップロードする運用

録音の方法についてですが、今はどのような機材と運用でAI支援さんを使っていますか?

現在は iPhoneのボイスメモで録音して、あとからAI支援アプリにアップロードするという方法を採用しています。
訪問先ではWi-Fiが使えないことも多いので、スマホで録音した方が確実なためです。

パパゲーノでも、外出先の場合はスマホで録音してAI支援さんにアップロードする運用を推奨しています。

最初はノートパソコンを持って行くことも考えましたが、ネット環境が不安定なこともありましたし、機材としても少し大掛かりになってしまうので。
その点、スマホでの録音であれば、ネットにつながっていなくても安定して録音できますし便利だなと感じています。

録音について、利用者さんやご家族からは、どのような反応がありましたか?

8〜9割の方は快く了承してくださいます。
どうしても抵抗のある方については、これまで通り手書きと手入力で対応しています。

今後のAI支援さんの機能改善への期待

実際に使ってみて、AI支援さんの改善要望や今後追加してほしい機能はありますか?

はい、いくつかあります。
まずは、面談の中で出てくる「体調」「デイサービス」「ショートステイ」など、特定のキーワードを重点的に拾ってもらえる機能があると助かります。事前にキーワードを登録しておいて、そこに関する発言をしっかり拾ってもらえるイメージです。
あとは、各事業所から紙で届く書類も多いので、そういった紙の書類を読み取ってテキスト化してくれる画像読み取りの機能があると、AI支援の中で一緒に管理しやすくなると感じています。

ありがとうございます。どれもまさに追加開発を進めている機能です。
まずは支援記録の要約の出し方について事業所ごとにAIへの指示を設定してカスタマイズできる機能を先日提供開始しています。意識したいキーワードなどを登録しておくことも可能です!

こちらで意識しておきたいキーワードをしっかり拾ってもらえると、記録の確認もしやすくなりますね。実務的にもかなり助かる機能だと思います。

AI画像読み取り機能も2025年10月に提供開始しました。
FAXや郵送で届いた紙媒体の記録も、AI支援さんで一元管理できるようになっています。

紙の書類は本当に多いので、それをそのままAI支援に取り込めるのはありがたいですね。
探す手間、保管のコストがかなり減りそうです。
AI活用に興味がある支援者へのメッセージ

最後にAI活用に興味がある介護施設で働く支援者さんにメッセージをお願いします!

ケアマネの業界でもAIへの関心は高まっています。業務負担の軽減という意味では、AIは確実に力になります。
そして大切なのは、「どう使えば業務が軽くなるか」を常に考えること。
新しい機能を定期的に紹介してもらえることもありがたく、使い方の幅が広がっています。

今回は貴重なお話をありがとうございました。
AI支援さんは現場の声をもとに改善を続けてまいります。
今後ともよろしくお願いします!

