パパゲーノがリカバリーストーリーの音楽を3曲プロデュース
辛い出来事や精神疾患・メンタルヘルス不調を経験した方のリカバリーストーリーをアートで世界中に届けることを目指す株式会社パパゲーノは2022年10月31日、サムエル・ソングによる楽曲「君はキミでいい」をApple MusicやSpotifyなど各種音楽サービスにて配信開始したことを発表します。
同時並行で制作を進めている庄司友里による楽曲「05:44」を中心に、庄司友里、サムエル・ソング、株式会社パパゲーノによるリカバリーストーリーを題材とした音楽制作について「NHK NEWS おはよう日本」で2022年10月17日(月)に放送され、WEB版の記事も公開されております。
【うつ病など メンタルヘルスに効果が期待 リカバリーストーリー|NHK】
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2022/10/story/recovery_story/
100 Papageno Storyで3曲の音楽を制作
『100 Papageno Story(ワンハンドレッド・パパゲーノ・ストーリー)』とは、株式会社パパゲーノが運営する辛い出来事や精神疾患を経験した方のリカバリーストーリーをアートで世界中に届けるプロジェクトです。100人の「生きててよかった物語」を絵本や音楽、漫画、絵画など多様な表現手法で形にすることで、日常の中でメンタルヘルスを考えるきっかけを増やし、スティグマの解消やピアサポートの拡充に貢献することを目指しています。
また、自殺を踏みとどまった人の物語に触れることが自殺の抑止効果を持つかもしれないという「パパゲーノ効果」を実証し、拡充したいと考えています。
『100 Papageno Story』では2022年4月から10月にかけて、サムエル・ソング、庄司友里、渕崎紅の3人のリカバリーストーリーを題材として、3曲の音楽作品の制作に挑戦しています。そのうちの1曲が今回配信開始したサムエル・ソングによる新曲「君はキミでいい」です。
【100 Papageno Storyについて】
https://papageno.co.jp/100-papageno-story/
リカバリーストーリーを音楽で届ける意義
自殺対策白書によると、令和3年の自殺者数は21,007人で、前年より74人(約0.4%)減少していますが、依然として高い水準です。自殺の背景として、自殺総合対策大綱には「自殺行動に至った人の直前の心の健康状態を見ると、大多数は、様々な悩みにより心理的に追い詰められた結果、抑うつ状態にあったり、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症していたりするなど、これらの影響により正常な判断を行うことができない状態となっていることが明らかになっている。」と記載されています。
自殺対策・自殺予防にはメンタルヘルスについて正しい理解を広めることや、偏見や差別(スティグマ)を解消するため辛い経験や精神疾患を経験した方と関わる機会を広めることが重要です。精神疾患に対するスティグマの解消には、「正しい知識の教育」と「当事者との接触体験」が有効だとCorrigan PW氏らの「Challenging the public stigma of mental illness: a meta-analysis of outcome studies.」で報告されています。
【自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~】
リカバリーストーリー(辛い経験と向き合い今を生きている人の物語)には、苦しんでいるのは自分1人だけではないと孤立感を和らげたり、辛い経験が無駄ではないと思えたり、前向きに挑戦する希望を与えたりする効果があると言われています。
多様なリカバリーストーリーを音楽で届けることは、文章や書籍だと届きにくい人にも届いたり、メンタルヘルス・精神疾患に無関心な人にも届きやすいという意義があります。例えば、うつ症状の際は長い文章を読むことは困難になりやすいですが、音楽であればより気軽に触れることができます。何気ない日常の中で聴いていた音楽が、実は背景にリカバリーストーリーが込められているとわかることにより、メンタルヘルスについて興味がなかった方にもメンタルヘルスを考え、身近に感じるきっかけを増やすことができると考えています。
リカバリーストーリーやパパゲーノ効果の動向
マーク・レーガン「ビレッジから学ぶ リカバリーへの道」によると、リカバリーとは精神疾患などを経験した方が、人として尊重され、希望を取り戻し、社会に生活し、自分の目標に向かって挑戦しながらかけがえのない人生を歩むことです。
パパゲーノ効果とは、自殺をふみとどまった人の物語が自殺を抑止する効果があるかもしれないという仮説のことです。2010年にウィーン大学のThomas Niederkrotenthaler氏らが「Role of media reports in completed and prevented suicide:Werther v. Papageno effects」という論文で提唱しました。
リカバリーストーリーやリカバリーという言葉は「ピアサポート(当事者同士の相互支援)」の文脈、パパゲーノ効果という言葉は「メディアと自殺予防」の文脈で使われています。
リカバリーストーリーやパパゲーノ効果の持つ力には近年注目が集まっています。
2022年の主な動向としては以下の4点が挙げられます。
パパゲーノ効果に関するメタ分析の論文発表
第一に、2022年2月1日にウィーン大学のThomas Niederkrotenthaler氏らによるパパゲーノ効果に関する複数のランダム化比較試験をメタ分析した論文「Effects of media stories of hope and recovery on suicidal ideation and help-seeking attitudes and intentions: systematic review and meta-analysis」が発表されています。自殺の危機からの希望と回復に関する物語を伝えるメディアが、わずかに自殺念慮を弱めているようだと報告されています。
NHK「ももさんと7人のパパゲーノ」
第二に、NHKにて2022年8月20日(土)に伊藤沙莉さん主演の「ももさんと7人のパパゲーノ」という特集ドラマが放送されています。「死にたい」思いを抱えながらも“死ぬ以外”の選択をしている人=パパゲーノとの出会いを通して、自分を肯定していく姿を描いたドラマです。多くの人が「パパゲーノ」という言葉を知り、死にたい気持ちについて考える大きなきっかけとなっています。
伊藤沙莉主演!「死にたい」思いを抱える人々の7日間の物語 特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」 |NHK_PR|NHKオンライン
革新的自殺研究推進プログラム
第三に、自殺総合対策大綱に明記された研究事業で厚生労働省と自殺総合対策推進センター(JSSC)が平成29年度に創設した「革新的自殺研究推進プログラム」でも、令和4年度の委託研究公募テーマの1つに「領域3:自殺報道・インターネット情報の影響と対策のあり方」が含まれており、研究の具体例として「パパゲーノ効果を踏まえた自殺報道や放送、情報発信のあり方」と示されていました。なお、公募は2022年10月11日に終了しています。
令和4年度 革新的自殺研究推進プログラム 委託研究公募 │ 調査・研究等 │ 厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター
株式会社パパゲーノの設立
第四に、株式会社パパゲーノが2022年3月2日に法人設立し、リカバリーストーリーを絵本や音楽、絵画、漫画など多様なメディアで表現し世界中へ届ける事業を展開しております。テレビ朝日「ANN NEWS」にて2022年10月15日にパパゲーノ効果について、「NHK NEWS おはよう日本」にて2022年10月17日にリカバリーストーリーについて、株式会社パパゲーノが実践するリカバリーストーリーを多様なメディアで表現する活動が取り上げられています。
リカバリーストーリーやパパゲーノ効果について、様々な形で実践と検証が進み、正しく社会実装されていくことが期待されています。
サムエル・ソング / 君はキミでいい
サムエル・ソングによる楽曲「君はキミでいい」は2022年10月末に配信開始しました。Apple MusicやSpotifyなど各種音楽サービスにて聴くことができます。
【楽曲に込められた想い】
「リカバリーストーリー」のために特別に書き下ろした1曲。精神疾患を患う自身の体験から、人と自分を比べて落ち込むのではなく、ゆっくり自分らしく生きることが回復への一歩だと言うメッセージが込められている。どんなに長くともいつか冬は終わり、暖かい春が来るように、将来に必ず希望があるということを何よりも伝えたい曲。
【制作チーム】
作詞作曲:サムエル・ソング
【「君はキミでいい」の歌詞(詩)】
長い冬が終わり 春が来るように
弱く 脆く 不完全な僕にも
いつものように 太陽が昇り
空気があり 季節が巡り
小さないのちが 芽吹くように
希望のかけらが キラリ輝くの
ありふれた毎日が 愛しいなんて
当たり前じゃないよね
I don’t care what you say
僕はボクでいい 君はキミでいい
I can only be myself
You can only be yourself
誰と比べたり 自信失ったりせず
Let me go my way
Would you please go your way
出口の見えない
トンネルの中だとしても
I’ll be okay 希望を確かに hold on
僕はボクでいい 君はキミでいい
I can only be myself
You can only be yourself
誰と比べたり 自信失ったりせず
Let me go my way
Would you please go your way
【サムエル・ソング】
韓国ソウル生まれ。宣教師の息子として生まれる。6歳で日本に移住。14歳の頃からピアノやギターを弾き始め、独学で作詞作曲を始める。日本語、韓国語、英語を操るトライリンガル・シンガー。2011年よりゴスペルシンガーとして本格的に活動を始める。教会を中心に、全国、また海外のライブハウスや市民ホールなどでの公演活動、TV出演、ラジオのホストを務める傍ら、通算5枚のアルバムをリリースし、数々の客演やコンピレーションアルバムなどへの参加を果たす。 2018年より、アーティストとしてだけでなく、オリジナルのワーシップソングの制作や海外有名曲の翻訳やリメイク、またワーシップリーダーとしても活動している。自身の活動の他、様々なアーティストとのコラボレーションや、作詞作曲の提供もしている。 現在も双極性障害の治療を行いながらアーティスト活動を続けている。
<Samuell Soung | サムエル・ソングの公式サイト>
https://www.samuellsoung.com
線香花美 / 物語はいつか誰かの役に立つ
線香花美による楽曲「物語はいつか誰かの役に立つ」は2022年9月に配信開始しました。Apple MusicやSpotifyなど各種音楽サービスにて聴くことができます。
本楽曲の制作に込めた想いやライブパフォーマンスの様子はテレビ朝日「ANN NEWS」にて2022年10月15日に取り上げていただいております。
【パパゲーノ効果】“自殺抑止”自らの経験を「歌」にする女性を取材
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000271938.html
【楽曲に込められた想い】
元精神疾患患者だった渕崎紅が生きてく為に必要だった言葉、「この経験はいつか誰かの役に立つ。」だからもう少しだけ生きてみよう。自分が救われた経験を元に当時の事〜現在回復に至った情景を作詞。楽曲は繊細でやさしい、ちょっと切ないbrightwaltzが制作。
【制作チーム】
作詞:渕崎紅
作曲:brightwaltz
【「物語はいつか誰かの役に立つ」の歌詞】
あの子と比べて”普通”ができない
約束できない破りたくない
がっかりなんてされたくないけど
やっぱりどうせわたしなんて
長い長いトンネル
抜ける日は来るのか…
嫌わないで無視しないで怒らないで
知らないあいだに思考は支配され
理想になれずにダメとジャッジした
誰のために?自分を責めてた
ジャッジしてたの子どものわたし
普通なんてないそのまま認めて
そしたらようやく許せたんだ
長い長い戦い
無駄にはならない
間違っちゃう止まっちゃうそれでいい
1人じゃみえない傷には気付けない
仲間がいたからココロ受け入れた
止まって見えても進んでた
未来に繋いでたことば
「物語はいつか誰かの役に立つ」
【線香花美(せんこうはなび)】
ピアノ(brightwaltz)とヴォーカル(渕崎紅)の二人組ユニット。 どこか切なさの残る90年代風の楽曲に、繊細な歌詞を乗せている。
<線香花美のYouTube>
https://www.youtube.com/channel/UCsDoNZht7juYEjwH7lCxRsA
庄司友里 / 05:44
庄司友里による楽曲「05:44」は2022年11月に配信予定です。現在は完成した音源をクラウドファンディングの支援者限定で先行配信しております。
本楽曲の制作風景は、「NHK NEWS おはよう日本」にて2022年10月17日(月)に放送され、WEB版の記事も公開されております。
【うつ病など メンタルヘルスに効果が期待 リカバリーストーリー|NHK】
【楽曲に込められた想い】
何もできないクズみたいな自分が大嫌いで、ふっと消えたくなる夜。どうやって生きればいいのかわからなくて、答えのない考えを巡らせる夜。どうしたらこの暗い世界から抜け出せるのか。
周りと違う自分の状態にもどかしさと不安を抱きながらも、あるきっかけから少しずつ前向きに生きるようになった話です。「私ができたから、みんなもできるよ!」ではなく、「とりあえずこんな風に生きてみています」と歌いました。この曲が、少しでも聴いた方の心に寄り添うものになりますように。
【05:44のクラウドファンディング募集ページ】
https://camp-fire.jp/projects/view/625990
【05:44 / 庄司友里 Yuri Shoji Teaser】
https://www.youtube.com/watch?v=Rzju6RVUxzI
【制作チーム】
作詞(日本語):庄司友里、サムエル·ソング
作詞(韓国語):庄司友里、정한새(Hansae Jeong)
作曲:サムエル·ソング、庄司友里
編曲:サムエル·ソング、RICKY
【「05:44」の歌詞】
部屋のすみっこで 壁にもたれて
夜明けを待つ 午前5時
窓から差した 青白い光も もう見慣れた
クズな自分が嫌で 情けなくて
この世界からただ 消えたくて
助けてと言いたいけど
自分の問題だから
流れる世界にひとり 残されて
過去を恋しがっても
その姿はもうない
今日もただ
時を溶かし
陽を見送り 眠りにつく
お腹が空いて 外に出てみた
日差しが 眩しかった
春の風に包まれ 心地良くて
なぜかその優しさが 不安になる
光掴みたいけど
掴んでも 消えていきそうで
暗い世界に 慣れた自分がいた
だけど気付いたんだ
きっかけは すぐそこに
何気ない 日常が
少しずつ戻ってきた
時間は過ぎてゆく
溶けたら もう戻らない
固めて使おうとしても
今を生きてみたい
弱い自分も許し 愛したい
世界でたったひとつの存在を
とりあえず起きてみる
朝ご飯食べよう
【庄司友里】
フリーランスのライター・翻訳者 (英日と韓日)。2018年秋から適応障害治療中。幼いころから「表現すること」が好き。趣味は歌うこと、作詞作曲、演技、物書きなど。「心の赴くままに生きる」がモットー。
05:44のクラウドファンディングについて
庄司友里とゴスペルシンガーのサムエル・ソングが共同で制作している楽曲「05:44」についてクラウドファンディングに挑戦中で、2022年11月6日まで募集しております。
【05:44のクラウドファンディング募集ページ】
https://camp-fire.jp/projects/view/625990
リカバリーストーリーの音楽作品を聴いた方の声
- 経験を通じて培ったオリジナルな感性に心惹かれます。
- メンタル疾患者なら誰しもが経験したであろう、眠れぬ闇を抱えたまま朝を迎えてしまう虚無感と、そこからリカバリーの象徴である朝ごはんへの繋がりが、未来を感じさせる展開で、秀逸だと思いました。
- 今でも時々、「自分の長い戦いは無駄ではではなかったのか?そしてまだ続いているのではないか?」という気持ちと、「無駄ではなかったなあ」という気持ちの間で揺れることがありますが、私の「物語はいつか誰かの役に立つ」日が来るよう生きていこうと思います。
- 自分の物語を大切にしながら、生きていく勇気をもらいました。
株式会社パパゲーノについて
株式会社パパゲーノは、「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して、リカバリーストーリーを絵本、音楽、絵画など多様な表現で届ける会社です。アートNFTプロジェクト「100 Papageno Story(ワンハンドレッド・パパゲーノ・ストーリー)」を運営。これまでに絵本作品の『飛べない鳥のかけるん』『ドーナツのなやみごと』、音楽作品の『物語はいつか誰かの役に立つ(線香花火)』、『君はキミでいい(サムエル・ソング)』、『05:44(庄司友里)』、絵画作品の『私は私に食べられそうだ。(EMMA)』などをプロデュース。
・株式会社パパゲーノ公式サイト
https://papageno.co.jp/
・Papageno DAO公式Discordコミュニティ
https://discord.gg/Xud8rz94
・株式会社パパゲーノ公式Twitter
https://twitter.com/Papageno_jp
・株式会社パパゲーノ公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCkFvqoc0vCNlMQVhlFlCkWg
・事業に関する問い合わせ先
info@papageno.co.jp