精神障害・発達障害を持つ方の子育てや、精神障害・発達障害を持つ子どもを育てる親が悩みを共有し助け合う生きづらい子育てピアの会(ゆらいく東京)を運営する水月琉凪(Luna)さんにお話を伺いました。
上尾市認定ピアサポーター
メンタル心理カウンセラー
チャイルドカウンセラー
チャイルドコーチングアドバイザー
双極性障害・ADHD当事者
Blog:https://ameblo.jp/luna-soutsu
手記:https://www.tvac.or.jp/special/selfhelp/people_mizuki
生きづらい子育てピアの会の設立背景
ゆらいく東京を設立するに至った背景は何ですか?
ゆらいく東京は、精神障害や発達障害を持ちながら子育てに奮闘する親たちのサポートを目的として設立されました。私自身が精神障害を持つ親としての苦労を経験し、同じような境遇にある人たちへの援助の必要性を痛感したためです。2019年にブログでこのアイデアを公表し、多くの共感を呼び、その後、横浜のYPS横浜ピアスタッフ協会や大阪大学の蔭山正子先生と連携して、この活動をスタートさせました。
ゆらいく東京の理念やコンセプトを教えてください。
ゆらいく東京はメンタル不調を抱えている方、妊娠中や妊活中の方、これから子育てを考えている方、そしてメンタル不調がなくても子育てで悩んでいる方々が、気持ちや悩みを分かち合い、共感し合うことで「独りじゃない」と感じることができる居場所を作ることを目指しています。
親自身が安全感と安心感を得ることで、子どもも安心感を得られるようになると考えています。
主な活動内容
現在は主にどんな活動をされているのですか?
私たちは主に、オンラインと対面での子育て支援活動を行っています。Zoomを活用した当事者会や、対面での子育てカフェ、そして「もうがんばらない子育て講座」などがあります。
精神障害を持つ親だけでなく、子育てに悩む全ての人に開かれた場となっています。
「もうがんばらない子育て講座」とは?
「もうがんばらない子育て講座」についてもっと詳しく教えてください。
この講座は、子育てにおける様々な悩みを持つ親を対象としています。
講座では、臨床心理士である本田涼子さんが、親と子の関係改善や、親自身の発達性トラウマや生きづらさからの解放を目指し、ガイダンスを行います。
前半1.5時間はペアレンティング・スキルの向上と同時に、身体感覚やイメージを用いたワークを通じて親自身の内面的な安心感を高めることに焦点を当てます。後半1時間では、参加者が自由に子育てや自分自身のことについて話し合います。
アットホームでリラックスした雰囲気の中で進められ、連続6回の講座ですが、1回だけの参加も可能です。
臨床心理士・公認心理師・プレイセラピスト・SE(ソマティック・エクスペリエンシング初級修了)。二児の母。上智大学卒業後、フィリピン派遣にて中学校で教え、共同体づくりに関わる。米国コーネル大学で農村開発学修士を取得後、ユニセフ職員としてガーナに赴任。帰国後アライアント国際大学/CSPP臨床心理学大学院で心理学を学び、夫の赴任先タンザニアに同行。2011‐2016年、日本ユニセフ協会東日本大震災緊急支援本部心理社会的ケアアドバイザー。2011年より日本プレイセラピー協会理事。NPO法人災害時こどものこころ居場所サポート理事、横浜市の児童家庭支援センターみなとにて子どものプレイセラピーと親のカウンセリング実施。
参加者の反応
「子育てカフェ」や「もうがんばらない子育て講座」に参加した方からはどんな声をいただいてますか?
多くの方が、自分だけではないという安心感を得たり、自分自身を大切にすることの重要性に気付いたりしています。また、他の参加者との共感や共有を通じて、子育てに対する新たな視点や解決策を見出しています。
「1人じゃない」という感覚を共有し、互いに励まし合う場となっていることを実感しています。
「もうがんばらない子育て講座」の参加者アンケート(一部抜粋)
臨床心理士の先生のお話から、子供の自己肯定感を育むには、まずは母親自身が自分に愛情と自信を持つことが大切なのだと気づかされました。子供を信頼し、もう少しゆったりした気持ちで子育てに向き合いたいと思います。(Uさん)
とても有意義な時間を過ごさせて頂きました。子供の年齢や悩みなど違うのですが、共感でき1人ではないんだなという勇気と元気をいただきました。雰囲気も温かく情報も共有させてもらえて一歩前に出れる気持ちになりました。1人ひとりの話に共感しアドバイスや自分の経験を交えてお話をしてくださり、とても安心感のある居場所でした。(Cさん)
初めて参加しました。子どもについがみがみ言いがちだと反省しました。じゃぁ、実際どんな話しかけが良いのか学べてよかったです。もっと子どもが小さい時にこの語りかけを知っていたかったと悔しくなるとともにこれからでも遅くはないと思いたいです。子どもが自分自身を価値ある人間だと思えるような手助けになる対話の仕方、自分の今までのクセは治すの難しいかもしれませんが、意識をして、ちょっとづつでも対話的な話し方ができるようになりたいと思いました。セルフコンパッション。自分自身が自分を尊重する・・・難しいですが、大切だと実感しました。子育て講座に参加できたことが自分を尊重できたことだと思いました。(Uさん)
今回、初参加でしたが、予定より30分長かったこともあり、終わった後クタクタになってしまいました。しかしながら、参加してみて色々な気づきがありました。自身の症状はとても辛いのですが(呼吸困難=パニック発作や対人恐怖症=最近では社会不安障害というのですね)、保育園への送り迎え等で、他の父兄とのコミュニケーションにプレッシャーを感じて、毎日ドキドキしながら迎えに行っていますが、勇気を奮い起こして行っております。私も弟が知的障害で(自閉症もあります)、両親と暮らしておりますので、両親の苦労は目にしてきたのですが、加えて私も統合失調症ということで、両親への負担はいかばかりだったかと思います。今回、ゆらいくに参加してみて、妻や両親への感謝の気持ちを忘れてはならないと、感じました。(Kさん)