相模原で障害をお持ちの方のスポーツ活動をするSHAFE卓球クラブ。設立背景や活動内容について、代表の栗原祐人さんにインタビューしました!
虐待、引きこもりを得て18歳の時にうつを発症。20歳から病院のプログラムで卓球で始めたのをきっかけに「SHAFE卓球クラブ」を設立。栃木いちご一会全国障害者スポーツ大会全国大会にて銀メダルを獲得。
障害者スポーツの魅力に感じ10年以上普及活性化活動を続け、社会起業家を目指している。
SHAFE卓球クラブについて
社会に優しい風をふかせる会の通称。相模原を中心に障害をお持ちの方のスポーツ活動を実践。
- 団体名:SHAFE(シャフ)
- 対象:男女ともに初級者から中級者を中心に募集中!
- 活動日時:土日祝、あるいは平日夜間13:00〜17時or17または18~21時半(詳細はHPを参照)
- 活動場所:相模原中央区のけやき体育館
- 月会費:500円(会員増加に伴い変動)
不登校・うつ病で高校卒業後2年引きこもりに
はじめに、SHAFE(シャフ)の設立経緯についてお聞かせいただけますか?
SHAFEを立ち上げたきっかけは、自分自身の体験から来ています。
学生時代、私は長い間、不登校でした。
小学校も中学校もほとんど行けず、その後、通信制の高校に進学しました。
しかし、母子家庭で母がうつ病だったこともあり、生活保護も受給していて生活は非常に困難でした。
それは大変な状況でしたね。
はい、本当にそうでした。
そんな中、高校を卒業しようとしていた時、就職のプレッシャーや人間関係の問題から、自分もうつ病を発症しました。
なんとか高校は卒業したものの、約2年間は家で引きこもり状態になりました。
運動療法に救われSHAFE卓球クラブを設立
そこからどのようにしてSHAFE卓球クラブの立ち上げに至ったのでしょうか?
20才の時に主治医の勧めでデイケアに通い始め、そこで提供されていた運動プログラム、特に卓球に魅了されました。
運動が心身の健康に良い影響を与えることを実感し、自分たちでもやっていきたいと思うようになりました。
それが「SHAFE」の活動の始まりなのですね。
はい。
正確には、SHAFEはソフトバレーから始まりました。ですが、私自身の体験から、スポーツを通じて人々の心の健康をサポートすることの重要性を強く感じており、それがSHAFEの主なミッションです。
最初はどのような形で活動していたのですか?
当初は、地元の体育館を借りて活動を始めました。
ある別の身体障害者の団体の代表と知り合い、彼らが体育館を使い終わった後の時間を私たちに貸してくれることになったんです。
良いご縁があったんですね。
本当にそう思います。
そして、気が付けば、私はそのチームのキャプテンになっていて、最終的にはSHAFEの代表となりました。
SHAFEの名前は途中で変更していた!?
SHAFEという名前にはどんな意味が込められているのですか?
SHAFEの設立当初、私たちは「社会不適合者が代表を務める団体」と自己紹介していましたが、これでは公的な場で受け入れられにくいと感じ、現在は「社会に優しい風を吹かせる会」として活動しています。
そして、気が付けば、私はそのチームのキャプテンになっていて、最終的にはSHAFEの代表となりました。
途中で名前の意味を変更しているのですね。
最初の名前は、私たちの背景を率直に表現したものでしたが、社会的にはネガティブな印象を与えがちです。しかし、私たちの目標は、ポジティブな変化をもたらし、周囲に良い影響を与えることです。だから、名前を変更し、活動のコンセプトもそれに合わせて改良しました。
「SHAFE Table Tennis CUP」を2023年7月に開催!
SHAFEの活動の中で一番力を入れていることは何ですか?
直近だと、2023年7月15日にSHAFEが主催して卓球大会をしました。
共生社会啓発、障害者スポーツの発展のため「多様性が交わる大会」を大会テーマに、身体.知的、精神と健常者を合わせて、リーグからトーナメントや初学者への指導台も提供しました。
何かこだわったポイントはありますか?
1つは、当事者目線で大会プログラムを作ることです。初心者の方も少なくない中でただ強い人が勝ち上がるトーナメント戦だと、1試合目で負けて終わってしまい初心者が楽しめないという課題があります。
そのため、自己申告で卓球の習熟度別にリーグを分けたり、初心者は総当たり戦にしたり、指導用の台を作るという工夫をしました。
誰もが楽しめるような工夫は素敵ですね。
もう1つは、多様な団体を巻き込むということです。
とても大変でしたが、相模原市、社会福祉協議会の後援もいただき、協力団体として「神奈川県障がい者スポーツ教会」「相模原市卓球協会」「MiuRuTC」さん、協賛企業として「卓球人.com」「Rallys」「丸善スポーツ」さんについていただいて、無事開催することができました。
ピア団体が主催で障害者大会を開催することも全国的に珍しいですが、県や国が掲げている共生社会の実現を多様な立場の団体が協力してインクルーシブな事業のモデルを先駆して作れたことは1つの成果かなと思っております。
参加者の変化:コミュニティとしての役割
SHAFEにはどんな方が参加されているのですか?
SHAFEでは、どんな背景を持つ人でも、どんな問題を抱えている人でも、ここは自分の居場所だと感じてもらえるような環境を大切にしています。
特に精神疾患を持つ人たちが、外に出ることすら困難だと感じることが多い中、私たちはその第一歩を踏み出しやすい場所でありたいと考えています。
国籍、言語、病歴を問わず、ここには皆で卓球を楽しむための温かいコミュニティです。
日本語はあまり得意ではないフィリピンの方も参加しています。
栗原さんのお話から、SHAFEが卓球クラブ以上のコミュニティとして機能しているという印象を受けます。
特に、精神疾患を持つ方や、さまざまな背景を持つ人々が参加できるこの包括的な環境は、非常に重要だと思います。
SHAFEの活動を通じて、参加者の方々にどのような影響を与えていると感じていますか?
その点については、本当に色々な変化を見てきました。
まず、卓球そのものが、参加者にとってストレス解消や健康促進の方法になっています。
運動をすることで、心身ともに健康を保つことができるんです。
それに、卓球はコミュニケーションのツールともなっています。
プレイ中に相手との間に起こる小さな会話や、プレイ後のフィードバックなど、自然な形で人との関わりが生まれます。
確かに、一緒にスポーツをすることは人と繋がる良い手段ですよね。
SHAFEでの経験が自信をつけ、新しいことに挑戦する勇気を与えてくれたと話もいただいたことはあります。
例えば、電話が全くできなかったという人が、ちょっとしたきっかけでSHAFEの運営のための電話をしてくれて、電話ができるようになったということもありました。
社会に優しい風をふかせる
今後、SHAFEが目指す方向性について教えていただけますか?
相模原はまだまだ社会資源が少ないと言われていて、障害者スポーツの機会も充分とは言えません。
自治体や社会福祉協議会、地域の福祉施設などと連携して、活動の輪を広げていきたいと思っています。
また、その先では卓球をコンセプトにした飲食店や、精神疾患をお持ちの方が活躍できる雇用機会を創ることにも挑戦していきたいです。
最後に、読者に向けて何かメッセージはありますか?