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「福祉×技術」投資家の視点【創業株主・熊本大樹】

パパゲーノの社員インタビュー第6弾!今回は創業株主でもあり、経営顧問を勤めている「くまもん」こと、熊本大樹さんのインタビューをお届けします。投資からみたパパゲーノの魅力、創業から関わる上での想いなど余すところなく掲載しています。ぜひ最後まで読んでください!

インタビュアー:中西高大(たかひろ)

資本主義社会の中で「個性」を発掘する事業を支援したい。きっかけは友人でもあるパパゲーノ代表、やすまささんからの相談から。

たかひろ
たかひろ

くまもんさん!今日はよろしくお願いします。
パパゲーノ代表のやすまささんとは創業前からお知り合いだったとのことですが、どういった繋がりがあったのでしょうか?

くまもん
くまもん

よろしくお願いします!
やすまさ(株式会社パパゲーノ代表取締役CEOの田中康雅)とは大学の学生団体を通して18歳の頃から仲良くさせてもらっていました。卒業後も定期的にお互いのビジョンやキャリアを議論する中、これまで積み上げてきたものを全てつぎ込んで起業すると聞いたとき、良き友人としてサポートしないわけにはいきませんでした。

私は現在リアルテックファンドという研究開発型ベンチャーに出資するVC(ベンチャーキャピタル)に務めているのですが、そこでの経験をパパゲーノの活動に還元できるのではないかと思い、株主兼経営顧問として携わらせてもらっています。

左:創業株主・くまもんさん、右:パパゲーノ代表・やすまささん
たかひろ
たかひろ

なるほど!学生団体の頃からのご友人だったんですね。

そこからどういった想いでパパゲーノに参画することになったのでしょうか?

くまもん
くまもん

自分の弟がとある難病を抱えているというのもあって、福祉×テクノロジーの分野には以前から強い関心を抱いていました。この資本主義社会の中で、何かしらの障がいが理由で多くの「個性」が埋没してしまっていると感じており、少しでもポテンシャルが発揮される社会を作りたいと。

リアルテックファンドから出資している会社の中に「オリィ研究所」という会社があります。ALS(筋萎縮性側索硬化症)という手足、舌や呼吸に必要な筋肉がなくなっていく難病のある方に対して、遠隔操作ロボットを通じた「就業」の機会を提供しています。オリィ研は2020年に総額5億円の資金調達を実施するなどスタートアップ業界でも頭角を現し初めていますが、オリィ研に限らず、様々な福祉×テクノロジーの事例を見てきたからこそ「パパゲーノ効果を広めたい」というやすまさの想いに対して、少しでも貢献できるのではないかと思って参画させてもらいました。

福祉初心者だからこそ、固定観念を持たずに変革を生み出せる。パパゲーノ経営チームの強み。

たかひろ
たかひろ

株主兼経営顧問という客観的な立場からみた経営チームの強みと弱みはどんなところにあると思いますか?

くまもん
くまもん

この2人(やすまささん、けいとさん)ほど愚直で、馬力があって、猪突猛進している経営者はなかなかいません。ビジョンを作り、計画を決め、立てた目標を実行するという「当たり前のことを当たり前にやり抜く力」はすごいものがあります。一方で、就労支援事業所を中心に福祉業界での経験値はまだまだこれから。彼らと一緒に働く周りの仲間がより多く集まるに連れて、そうした現場感覚も高まってくることを期待してます。

たかひろ
たかひろ

そういう意味で、パパゲーノのように福祉業界の出身でない「よそもの」が入ってくるのはユニークですよね。

くまもん
くまもん

おっしゃる通り、福祉業界で起業される方は当事者だったり当事者の支援者だったりするケースが多いです。新しい技術の導入ハードルが高いからこそ、ゼロからサービスを立ち上げてようとする人は稀だと思いますが、こうした人材こそ固定観念を持たずに変革を生み出せると信じています。課題を訴えて、業界の盲点をついて、ピンポイントで課題解決を促進するサービスを作り出す。パパゲーノの取り組みもまさに、盲点だなと感じてます。

「パソコンを使って仕事をするなんて、誰でもできるじゃん」と決めつけ、取り組みすらしないケースがほとんどだと思いますが、そうした現状を逆にチャンスと捉えてチャレンジしようとするのは、よそものならではだな、という期待感がすごくあります。

経営チーム2人(左:やすまささん、右:けいとさん)とくまもんさん(真ん中)
たかひろ
たかひろ

投資家視点で見た時に、やはり福祉の領域で起業することは難しいのでしょうか?

環境は変わってきていように感じますか?

くまもん
くまもん

キャピタルマーケットに影響され、スタートアップの投資環境もここ5年で大きく変わってきていているように感じます。私として嬉しいのは、社会的インパクトと経済的インパクトの両輪を目指す企業が評価されることが本当に増えてきたということです。

先ほど例にあげたオリィ研究所はもちろんのこと、日本全国の主に知的障害のある作家とアートライセンス契約を結び、多様な事業を展開する株式会社ヘラルボニーや、介護負担を軽減する排泄センサーを開発する株式会社abaなどの福祉・介護系ベンチャーが、ピッチコンテストで優勝したり、資金調達に成功したり、新卒でも入る人が出てきたり。数年前までは「儲かりそうなITベンチャー」が評価の対象だったのに対して、少しずつですが確かな変化が生まれていると感じています。何社かのベンチャーの創業相談に乗ることがありますが、「今ならチャンスがあるからトライしよう!」と言うようにしてます。そういう意味では起業のハードルは下がってきているように思います。

たかひろ
たかひろ

すごくいい風が吹いてますね!これはパパゲーノにとってもチャンスになりそうです。

くまもん
くまもん

逆説的に聞こえるかもしれないですが、大切なのは「儲かる」確信を持って経営ができるか、です。

誰しもが「社会にとって良いことをしているよね」と思う一方、福祉領域のベンチャーの取り組みを見て、儲かりそうだ!とは自社で思えてない取り組みが多いです。

鳥の目を持ってその理由を自問したときに、おそらくどこかで儲かることに対する後ろめたさや、儲からなくてもいい、という一種の妥協があるからだと思います。この壁を突破して、自社の取り組みが本気で儲かると思えているのであれば、投資もどんどん集まってくるようになります。

誰しもがいきいきと働ける社会を作りたい。そのためにもまずは自分からアクションする。

たかひろ
たかひろ

投資家ならではの意見がたくさん聞けて非常に勉強になりました!

最後にくまもんさんがパパゲーノを通じて実現した社会を教えてください。

くまもん
くまもん

弟の病気を間近に見てきた中、「誰しもがいきいきと働ける社会」をどうつくるかは私にとって非常に重要なテーマです。自分の周りには何かしらの理由でそれが実現してこなかった人がたくさんいたので、まずは僕自身が誰よりもいきいきと働くことでいい影響を与えていきたいと思ってます。

パパゲーノに関わることもそのうちの一つです。パパゲーノでは、今の社会を生きるのに必要不可欠な「スキル」を習得できる機会を提供していきます。僕らと関わることを通して、社会に価値を生み出してる実感を得られる人を増やしていきたいと強く思っています。

たかひろ
たかひろ

生き生きと働くことって、今日本で問題されている孤立や孤独といったテーマにもつながると思うので、意義のある取り組みだと感じます。

今日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

誕生日プレゼントでへラルボニーのハンカチをもらった時の記念写真