パパゲーノの社員インタビュー第一弾。今回は代表のやすまさこと、田中康雅さんのインタビューをお届けします。創業に至るまでの経緯、新しく開設する就労移行支援B型の事業所にかける想いを掲載しています。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
インタビュアー:中西高大(たかひろ)
創業に至るまで
やすまささん、本日はよろしくお願いします!
早速ですが、パパゲーノを創業するに至った経緯を教えていただいてもいいですか?
よろしくお願いします!
大学時代、身近に自殺未遂をされた方がいてメンタルヘルス分野に興味を持ったんです。
それがきっかけで、ヘルスケア系のベンチャーを3社経験し、この分野で自分は何が貢献できるのかを考えるようになりました。
同時に大学院でメディアと自殺予防の研究をすることで、力をつけ、その中で「メンタルヘルスの現場の最前線で、事業を実践する人が圧倒的に足りていない」という課題に気づき、それなら自分で起業しよう!と踏ん切りがついたんです。
その頃から起業のアイデアはすでにあったんでしょうか?
全然そんなことはなかったです。
はじめは個人でメンタルヘルスに特化したビジネスコンテストを主催し、いろんなビジネスモデルのパターンを勉強させてもらいました。
ただそれを経てもなお、どういうビジネスがやりたいのかはわからなかったので、起業する日を2ヶ月先に決めちゃって、その期間でアイデアを出そうと決めたんです。
期限を先に決めて自分を追い込んだんですね(笑)
そうですね(笑)
ただ、いろんな先輩の経営者の方々に相談するうちに、多くの方から「パパゲーノに仕事発注するよ」と声をかけていただいたことで、初めからいきなりアイデアを考えるよりも、まずはコンサル事業を展開して足元の売り上げを作りながら、アイデアを模索することに決めました。
現場に潜る中で見えてきた障害福祉現場の課題
そこからアイデアは見つかったんでしょうか?
はい。
コンサル事業を通じて、メンタルヘルス業界を眺める中で僕たちは「精神障害をお持ちの方の選択肢が狭まっている」ことに着目しました。
例えば、一般の企業で働くことが難しい精神障害をお持ちの方が通える「就労継続支援B型」という事業所は全国に1万4千箇所あるんですが、そのうちわずか3%しかITスキルを活かして働ける場所がないんです。
3%…!めちゃくちゃ少ないですね。
就労継続支援B型で多く実施される箱詰めや清掃、農作業といった作業はもちろん必要なのですが、就職先である職場がパソコンを使って仕事することが一般的になってきている中で、ITスキルを実践的に学び、活用できる機会が足りていないなと感じました。
また、それは現場で働くスタッフさんたちにも言えることで、技術を使いこなしてより良いお仕事をしていくことが必要なんだろうなと思いますね。
パパゲーノのメンバー5人のうち4人がIT畑出身だったからこそ感じた課題でした。
それなら僕たちで、ITを活用した就労継続支援B型を立ち上げて、精神障害をお持ちの方の働く選択肢を広げようと思ったんです。
「選択肢を広げる」というのは具体的にどういうことでしょうか?
佐賀県の就労継続支援B型に通われていたかけるんさんは一つの好事例です。
かけるんさんは統合失調症の診断がついて、入院を8回ほど繰り返されているんですが、その体験談をnoteで発信したり、本を書いたりされていたんです。
すごく素敵な取り組みだと感じたので「これを絵本にしてもっといろんな人に読んでもらいませんか」とお声がけしました。
そこからオンラインのビデオ通話ツールを使って毎週ミーティングをし、やることを確認したり、canvaというデザインツールも使って絵本を制作してみてもらったりしましたね。そうして習得したITスキルを、今は地元のピアサポートにも活かしてもらっています。
なるほど。パパゲーノのプロジェクトに携わってから、かけるんさんご自身でも精力的に活動されているんですね!
かけるんさんのそばでお手伝いさせてもらう中で、ご自身の興味があることに積極的に挑戦していくようになったと感じました。
やっぱり初めてITツールを使う状態だとすごく抵抗があると思うんですが、いざ触ってみると「意外に簡単に作れるんだ」という小さな成功体験が得られて、そこから「自分にももっとできるかもしれない」と思えるようになる気がします。
これからのパパゲーノ
ありがとうございます!では最後に、これからパパゲーノとして挑戦したいことを教えてください!
自分が望む生き方を追及できる障害福祉業界を作っていきたいと思っています。
そのためにまずは1施設、東京の杉並区で、就労継続支援B型としてIT系の仕事ができる理想のやり方を模索してロールモデルになって、業界全体に広めていくことがやりたいですね。
こういう疾患を持っているからこの作業はできない、やるべきでないと支援者が制限をかけるのではなく、人それぞれの「自己決定」を尊重し、応援する場所でありたいです。