2025年3月に開所する就労継続支援B型「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」の支援員として働く臨床心理士の生野賢司さん。放課後等デイサービスや、業務委託での企業のマーケティング支援の仕事など、多彩な働き方を経験しています。
そんなパラレルキャリアを歩む生野さんに、パパゲーノで支援員をやろうと思ったきっかけや、臨床心理士を目指した理由、今後挑戦したいことを伺いました!
臨床心理士。2005年3月に開所する就労継続支援B型「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」の支援員。公認心理師向けの研修サービスのマーケティング業務と、放課後等デイサービスでの支援員とで、実業と臨床(支援)を両輪で実施するパラレルキャリアを歩んできている。
メンタルヘルスに特化したビジネスコンテストでの出会い

「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」で支援員としてこれから働く生野さんにお話を伺います。
よろしくお願いします!

生野賢司(せいの・けんじ)と申します。
カウンセラー(臨床心理士)として、2025年3月からパパゲーノ Work & Recovery 用賀で利用者さんの就労支援の仕事をしていきます。よろしくお願いします!

早速ですが、どうしてパパゲーノで支援員として働こうと思ったのですか?

そうですね。僕たちの出会いからお話しできればと思います。
3年前の話になりますが、当時の私は大学院に通って臨床心理士の資格を取得し、「メンタルヘルスケアに関する新しいチャレンジを何かできないかな」と考えていました。
そこでたまたま田中さんが主催していた「メンタルヘルスに特化したのビジネスコンテスト」を見つけて応募したのがパパゲーノ田中さんとの出会いです。

2021年12月に「Mental Health Biz」というビジコンを個人で開催してました。
生野さん災害発生時の心理的ケア(サイコロジカル・ファーストエイド)に関するビジネスプランを作成して応募いただいてましたね。とても興味深かったのを覚えてます。

ここでビジコンにチャレンジしないなら、この臨床心理士のキャリアを選んでいる意味がないなと思ったんですよね。
その後に田中さんは2022年3月にパパゲーノを創業されていて、SNSなどを通じてどんな想いで起業されているのかなどは知っていました。

いや〜、本当にビジコンやってよかったです。
余談ですが、絵本「飛べない鳥のかけるん」が創業直後、最初のプロジェクトだったのですが、かけるんさんもMental Health Bizに応募いただいたのが出会いでした。
生野さんとも、かけるんさんとも、ビジコンがきっかけで出会ったんですよね〜。

僕も応募して良かったです。
もしも僕がビジコンの応募ボタンを押していなかったら、一緒に働いていないんだろうなと思うと本当に不思議なご縁ですね。

生野さんが臨床心理士を志した3つの理由

そもそもなぜ臨床心理士を目指そうと思ったんですか?

臨床心理士を目指そうと思った理由は主に3つあります。
1.自身が幼少期に相談できる困った体験があるから
2.弟の学習障害で両親が困る様子を見てきたから
3.周りで働く知人でメンタル不調になる方が多かったから
です。

幼少期に相談ができなかった体験というのは、生野さん自身に悩みごとがあったのでしょうか?

小学生のときに「学校に行きたくない」と感じたり、三人兄弟の長男という立場でなかなか人に相談ができない環境だったりで、悩むことが多かったです。
僕自身がメンタル面で悩んだ経験があることから、「誰か相談できる存在がいたら心強いな」と感じていました。

2つ目の弟さんの学習障害についても、詳しく教えていただけますか?

次男が学習障害があり、今は障害者雇用枠で働いています。
僕が小学生の頃は、発達障害の理解が社会的にもまだ広まっていなかったこともあり、親が困っている様子を間近で見てきました。親が大変そうなので、自分自身の悩みを相談することをためらったりもしていました。
そのため、発達障害のある方やその家族の力になりたいという思いがあります。

なるほど。
それが放課後等デイサービスで働らくことにも繋がっていったんですね。

そうですね。
3つ目については、一般企業に所属する中で、メンタル的にしんどい思いをされている方が周囲にたくさんいたということがあります。
企業でのカウンセリングや、働く人のメンタルサポートに関わりたいと思うようになりました。

もやし工場でバイト!?退路を断って臨床心理士の道へ

臨床心理士は大学院を卒業しないと受験資格がないですよね?
仕事は辞めて大学院に通われていたのでしょうか?

そうですね。東京で働いていた会社を退職して静岡の実家に帰省して、もやし工場でアルバイトしながら臨床心理士の勉強をしていました。

もやしを作ってたんですね!笑

はい。もやしを作っていました笑
心理学部を卒業していなかったので、アルバイトもしつつゼロから心理学をコツコツ勉強していました。

仕事をやめて退路を断って、帰省して臨床心理士を取得されたんですね。

働きながら大学院に行って臨床心理士の資格を取得される方も中にはいらっしゃいます。
ただ僕は不器用なので、一度退路を断った方が勉強に集中しやすいかなと思っていました。
もやし工場での経験を経て「色んな仕事が世の中にはあるんだな」という視点を持てたのも良かったですね笑

複数の仕事を掛け持ちするパラレルキャリアを始めたきっかけ

生野さんは企業でのマーケティング業務(業務委託)や放課後等デイサービスでの支援(雇用契約)など多様な働き方をしていますよね。
そもそも複数の仕事を掛け持ちする「パラレルキャリア」になったきっかけは何だったんですか?

臨床心理士になれる大学院に進学するために予備校に通っていました。
その予備校で個別サポートを担当いただいた方に「起業するから手伝ってほしい」と誘われたのがきっかけです。
大学院在学中から、その会社で5年ほど働き続けています。

自分が臨床心理士の試験を受けるサポートをしていただいた方の会社で、今も関わってるんですね。

そうですね。
業務委託でのその仕事から始まって、障害福祉施設や心療内科など臨床の仕事も掛け持ちで始めました。

実務と臨床の両方の視点を持っているのは、すごいなと思います。

多様な働き方を経験しているから、就労支援の幅も広がる

自分で話してても思いますけど「変なキャリア」ですよね笑

ソーシャルワーカーとしては多様な経験をしていることが大きな強みになるだろうなとは思います。
1対1で個人の問題解決をすることは支援現場だとほとんどなくて、周囲の生活環境や社会環境に働きかけて対処していくことが多いです。
企業の決裁の流れが分かったり、業務委託での働き方がわかったり、問題を多角的に捉えて何とか解決に向けて働きかける視点は強みになると思います。

臨床心理士も多くの方は心療内科やスクールカウンセラーとして臨床1本で仕事していると思います。そういう方は、もちろんその分、深い臨床経験を積んでいると思います。
一方で、僕は物事を一つの視点でずっと捉え続けるのが苦手で。
色んな角度から見た方が、物事や事象に対する解像度は上がっていきますし、カウンセリングの現場でも、就労支援でも大切なことだと思っていて、自分には多様な視点を実際経験しながら支援の仕事もするのがあっているなと感じています。

「深さ」をとるか、「視点の幅」をとるか、臨床心理士のキャリアで迷われている方も多そうですね。
対人援助の中でも、特にソーシャルワークは多様な立場を経験していて、視点の幅が広いことは生きるだろうなと思います。

そうですね。ありがたいことにソーシャルワークをする上で必要なピースが、自分のキャリアの中で集まって来ていたと思います。
多角的な視点を持つという意味では、もやし工場で働いた経験も貴重でした笑

例えばですけど、利用者さんの中には「障害年金+個人事業主(フリーランス)」で暮らしていきたいという方もいます。
そういった際に、個人事業主として開業して業務委託で働いた経験があれば相談に乗りやすいです。
僕自身も社会人1年目から個人事業主の箱は持っているのですが、
・税務署への開業届の出し方
・業務委託の見積書の作成や契約書の作り方
・消費税やインボイス制度、免税事業者について
・企業の源泉徴収による所得税の納め方
・確定申告の際に障害者手帳があると所得控除になる
などを自分の体験から理解しているので、開業した経験が意外と福祉の仕事で役に立っていると感じます。

確かに、会社員、個人事業主など色んな雇用形態で働いたことがあるのは就労支援をする上で強みになりそうですね。
僕自身のユニークなキャリアが、多様な困りごとのある方の生き方を支援するのに役に立ったら嬉しいです。

パパゲーノ Work & Recoveryを仕事や技術の面白さを実感できる場所にしたい

今はパパゲーノ Work & Recoveryの開所準備に向け、机の搬入作業など力仕事をしてゼロから事業所立ち上げをしている状態かと思いますが、生野さんがこれからパパゲーノで挑戦したいことがあれば教えてください!

「この仕事面白い!」「新しい技術を試してみたい!」と利用者さんから思ってもらえるような場を作りたいですね。
そこから興味や関心がどんどん広がり、次の仕事に繋がり、利用者さんが生き生きと過ごせるようになることに貢献できればと思います。
利用者さんの中でも、僕よりも豊富な知見や経験を持っている方が多くいらっしゃると思います。こちらも一緒にたくさん学ばせていただきながら、苦手な部分が出てきたら伴走する寄り添った支援を利用者さんに提供していきたいです。

仕事の面白さを実感いただけるのは、就労支援の醍醐味ですよね。

支援はチームでやっていくものだと思うので、パパゲーノのスタッフ内はもちろん、地域の関係機関の方々とも良い関係を築けたら嬉しいなと思っています。

いいですね〜。応援しております!
これからパパゲーノ Work & Recovery 用賀の運営よろしくお願いします!

3月に開所してから、きっと怒涛の毎日かと思います。
こちらこそ、引き続きこれからよろしくお願いします!