元自衛官という経歴を持ち、現在はパパゲーノの八幡山で支援員として働く、たくみさん。
家族の経験から「薬だけではなく、もっといろいろな形の支援があってもいい」と考え、障害福祉の仕事を志しました。2025年2月の入社以来、用賀、下高井戸、八幡山と各拠点で経験を積み、現在は「AI支援さん」の開発や推進にも携わっています。
今回は、パパゲーノへの入社のきっかけから、これまでの経験、「AI支援さん」への関わり、そして、たくみさんが実現したい理想の支援について話を聞きました。
家族の経験から、障害福祉の仕事を志して

たくみさんは、パパゲーノに入社してどれくらいになりますか? 1年半くらいですか?

そうですね。2025年2月に入ったので、8月でちょうど1年半になりますね。

早いものですね。

早いですね。

たくみさんは、用賀、下高井戸、八幡山と、パパゲーノのいくつかの拠点を経験してきましたよね。今日はそのあたりも含めて、これまでのことを聞いていきたいと思います。
まずは、そもそもパパゲーノで働こうと思ったきっかけから聞かせてください。入社前から、パパゲーノのイベントに何度も参加してくれていましたよね。

そうですね。
入社した理由は、家族の影響が一番大きかったですね。
母がうつになったり、兄も統合失調症や双極性障害を抱えていたりして、中学生の頃からその姿をずっと見てきました。
病院に通っていても、なかなか良くならなかったり、再発を繰り返してしまったりする。その様子を見ていて、「薬だけではなく、もっといろいろな形の支援があってもいいんじゃないか」と思うようになりました。
安心して過ごせる居場所や、良い人間関係はリカバリーにとても大切だと思っていて、こうした就労継続支援B型で働きたいと思うようになりました。

なるほど。ありがとうございます。
家庭を離れ、自衛隊へ。災害派遣で感じた仕事のやりがい

たくみさんの少し変わった経歴というところでは、元自衛官というのもありますよね。

そうですね。少し暗い話になってしまうんですが、当時は両親が心身の調子を崩したことなどもあって、家庭の状況がかなり厳しくなっていました。
経済的にも生活面でも、まずは自分で衣食住を確保する必要があると考えて、「自衛隊に入ろう」と決めました。
ちょうどその頃に東日本大震災もあって、僕にとっては一番就職したいと思えるところでしたね。

自衛隊時代で、特に思い出に残っている仕事はありますか?

鬼怒川が氾濫した際に、災害派遣に行ったことですね。
現地では物資を運んだり、被災された方を担架で運んだり、声をかけたり、瓦礫を撤去したりしました。
それまで積み重ねてきた訓練が、実際の災害現場で人の役に立った経験でした。被災された方から感謝の言葉をいただくこともあって、自衛官として大きなやりがいを感じました。
あとは、自衛隊では日本拳法という武道にも取り組んでいました。黒帯を取ったり、大会に出場したりもしましたね。
すごく厳しい環境ではあったんですけど、チームの力で苦しい訓練を乗り越えていけたので、楽しい思い出ですね。辛かったですけど。
支援員としての経験と「AI支援さん」への関わり
用賀、下高井戸へ。支援員として経験してきたこと

ここからは、改めてパパゲーノに入ってから、どんな変遷を辿ってきたのか、そのあたりを聞かせてもらえますか?

そうですね。パパゲーノの存在とか、やすまささんの発信とか、そういうのを見て、やっぱりDXも必要だし、AIも使っていった方がいいと思っていたので、パパゲーノの理念やスタイルにすごく共感して、イベントにも何度も足を運んで「入社したいです」と伝えて、念願の入社が決まりました。
最初は用賀に入ったんですけど、用賀で働く中で、職業指導をやったり、個別支援計画を作ったりして、役割分担とかチームワークについては、すごく考えるきっかけをもらったなと思いましたね。

なるほど。そこから2025年5月に下高井戸の拠点を立ち上げたと思うんですけど、そのタイミングで下高井戸に入ってもらったんですよね。

そうですね。

たくみさんはどちらかというとITに強く、生産活動の中でもWeb制作スキルが必要な案件や、ディレクションが求められるようなところに入って頂いているような印象です。

そうですね。今は「AI支援さん」に関わる仕事がすごく楽しいですね。
「AI支援さん」の開発や推進にもっと関わりたい

AI支援さんには、たぶん一番詳しい状態ですよね?

おそらくそうだと思います。
入社した当時から関わっていましたが、特に下高井戸に移ってからは、開発責任者の福田恵人さんと一緒にやらせていただいています。
もともと下高井戸に転籍したいと思った理由の一つが、AI支援さんの開発や推進に関わりたかったからなんです。
やっぱり恵人さんや、やすまささんの近くで働いた方が、AI支援さんによりコミットできるだろうと思ったところもありますね。
今は理想の仕事ができている状態でして、非常にやる気に満ちております。
もっとAI支援さんを広げていきたいですし、開発や改善にも関わって、いろいろな方に使っていただきたいと思っています。

福祉現場の事務作業を効率化する「AI支援さん」

素晴らしいです。
せっかくなので、AI支援さんの概要と、利用者さんにどんなお仕事を担っていただいているのかを、ぜひご紹介いただいてもいいですか?

はい。AI支援さんは、簡単に言うと、福祉事業所の事務作業をAIで効率化するアプリです。
事業所では、個別支援計画書やアセスメントシートなど、利用者さんに渡したり、行政に提出し書類を日々作っていると思うんですけど、そうした書類の下書きをAIが自動で作成してくれます。
もうひとつの主な機能が、面談や会議の録音です。録音した内容から、要約や記録をワンクリックで作成できます。
ほかにもいろいろな機能がありますが、コンセプトは一貫していて、「福祉現場の事務作業を減らして、支援に向き合う時間を増やす」ためのアプリケーションです。
メンバーさんにメインでお願いしているのは、書類の「テンプレート登録」という作業です。
行政に指定されている書類は自治体ごとに様式が違うので、お客さんの書類をそのままAIに作らせることはできません。まず、その様式をAI支援さんの中に雛形として登録して、AIが読み取れる形に整える必要があります。その作業をメンバーさんにやっていただいています。
これが結構難しくて、正解がないんですよね。「こうしたらいいんじゃないか」「こうすればお客さんが望む書類になるんじゃないか」とチームで話し合って、テストしながら進めています。

ありがとうございます。
AI支援さんの最大の特徴の一つが、今使っている書類をそのままAI支援さんに登録して、下書きを出力できるというところで。
ただ、それをやるためには、お客さんごとに今使っているExcelの書類を一個一個、項目を定義して、「このセルは、こういうプロンプトをAIに出して、返ってきた回答を入れる」みたいなことを、読み込ませる必要があるんですよね。
その登録作業を、利用者さんにやっていただいている感じですね。

はい。今、70事業所以上ですかね。使っていただいていて、絶賛拡大中ということで。どんどん広がって、進化していく様を見るのも楽しいですね。
テンプレート登録だけでなく、新機能のテストや記事制作も

あとは、新しい機能を作ったときのテスト業務もやってもらっていますよね。

そうですね。福田恵人さんが開発チームとして新しく開発したものを実際にテストしてもらって、バグがないか、修正した方がいいところがないかをチェックしてもらっています。

最近だと、新しい機能をお客さんに説明する記事を作ってもらい始めたところですもんね。

そうなんですよね。
お客さんにAI支援さんの機能をより分かりやすく届けるために、生産活動の種類もどんどん増えていて、内容も多岐にわたってきています。
パパゲーノの生産活動の中心がAI支援さんであることは間違いないと思っているので、これからもっと広げて、いろいろな事業所で取り組んでいきたいと思っています。
「一緒のチームとして働く」のが理想の支援

八幡山の利用者さんは、教えられるぐらいの理解度になっているので、今僕がやっているようなことを利用者さんにやってもらう。
さらに、また発展した業務を切り出したり、考えたりするというところで、良いサイクルができています。
本当に「Work & Recovery」であり、一緒のチームとして働けているというのが僕の理想の支援なので、その状態にいられるのがすごく楽しいなと思っています。

はい。ありがとうございます。いいですね。

いや、すごく良いんですよ。やっぱり探し求めて良かったなと。
自分が理想とする仕事だったり支援だったりというのを、やすまささんと恵人さんが作ってくれたというのがあるんですけど、「できるんだな」と思っていまして。
結構夢中になってやれていますね。かなり幸せです。

よかったです。
障害のある方や家族が孤立しない、良いつながりのある社会へ

僕が実現したいこと、話していいですか?

どうぞ。ぜひお願いします。

3つ、実現したいことがあるんですけど。
障害のある方と、そのご家族が孤立しない、良いつながりを作れる社会を作るということが1つですね。
そのために、B型や相談支援事業所、就労移行など、いろいろな福祉サービスがあるんだなと。このつながりを途絶えさせないことが、すごく大事だと思っています。
人とのコミュニケーションだったり、社会に貢献するということで仕事をすることが、良いつながりにつながっていくと思うので、もっとパパゲーノの事業所が増えるといいなと思っています。
2つめはその良い場所を作って、リカバリーを実現する。そういう思いのある人も増やしたいし、そういう思いのある人と一緒に働きたいと思っていますね。

3つめは、「支援者が疲弊しない仕組み」を作りたいということです。
支援者には、強い想いがあっても運営の仕組みが追いつかずに苦労したり、想いだけで頑張り続けてバーンアウトしてしまったりする人が多いと思うんです。
パパゲーノには残業がありません。「なぜ残業しないで済んでいるのか」というと、いろいろな工夫があるんですけど、大きな要因のひとつはAI支援さんがあることだと思っています。
支援の現場では、書類作成や事務作業に時間を取られてしまうことが多く、DXやITで解決できる部分だと思うので、「支援者が疲弊しない仕組み」を作るという点はぜひ実現したいですね。
DXは、理想の支援を実現するための手段

特にスタッフの働きがいって、利用者さんへの支援の質と本当に直結すると思うんですよね。
DXというと「業務効率化」って思いがちだと思うんですけど、あくまで理想の支援や仕事、サービスを作るための手段でしかないと思うんですよ。

うんうん。一緒に働いていますからね。

バーンアウトしないようにする。そういう文化も含めて、業務の進め方やオペレーションの基本的なところで、自動化できるところは自動化する。だからこそ、人が支援に入るべきところは人がやるという体制を作っていくのは、すごく大事だなと思いますね。
「良くしたい」という気持ちが湧き続ける環境

そうですね。様々な業務に関してアイデアを提案すると、皆さんしっかり聞いてくださるし、実際に反映もしてくれるのですごく風通しがいい会社だなと思っています。
「言っても無駄だな」と思ってしまうと、だんだん何も言わなくなって、淡々と仕事をこなすだけになって、やりがいも薄れていきますよね。それだと、パパゲーノらしくなくなってしまうと思うんです。
「さらに良くしたい」「前進させたい」「もっと支援の質を高めたい」という気持ちがなくならずに、湧き続けている。それは、パパゲーノにそう思わせてくれる土壌があるからだと思っています。

ありがとうございます。
支援する側から、学びやノウハウを発信する側へ

支援者育成というところで言うと、パパゲーノとしても結構な頻度でイベントを開催したり、支援者向けの研修会をやったりしていますよね。

そうですね。学ばせてもらえるというのは、すごく大きいなと思っています。

業界全体をアップデートするという意味では、たくみさんが主催側になっていくといいと思うんですよ。

ありがとうございます。まさにAI支援さんとかの研修、やりたいですね。

ぜひやりましょう。
各拠点ごとに定期的に外部向けのイベントを主催していく形にしたいと思っていて。下高井戸だったら就職支援や施設外支援、八幡山では、たくみさんがAI支援さんやAI活用について話すのもいいと思います。
そういうノウハウって結構貴重だと思うんですよ。「うちはこうやっていますよ」という情報交換会でも、十分価値があると思うので。

ぜひ!
僕が思う理想の支援はここでできているので、こういうことが広がると、リカバリーできる人が増えたり、未来に希望を持てる人が増えたりすると思っています。
なので、発信はしていきたいですね。

ぜひ。やりましょう!

実際にパパゲーノから就職された方も、2026年度だけでもう7人いらっしゃるんですよね。そういうところもぜひ知っていただきたいです。B型であっても、就職を実現することはできるんだと。
だからこそ、旧来のB型とは違うんだなと強く感じています。「パパゲーノ型事業所」と言ったらいいんでしょうか。今までのB型では実現することが難しかった、新しいことが実現できるようになっている。それが楽しいですね。
これからもどんどん新しいことに挑戦していきたいと思っています。
他の事業所ともコラボしていきたい

あと、考えているのが、さまざまな事業所さんとコラボしてイベントなどをやりたいということです。
株式会社キズキ代表の安田祐輔さんが書いた『暗闇でも走る』という本を読んだんですけど、安田さんは、発達障害によるいじめや一家離散などを経験しながらも学び直して大学に進み、その後、不登校・中退経験者のための学習塾「キズキ共育塾」を立ち上げた方なんです。
自分を取り囲む環境が原因で苦しんでいても、そこから変わる努力をしなければ状況は変わらない。
そういう想いから「何度でもやり直せる社会」をつくることを掲げて活動されていて、すごく感銘を受けました。
同じような思いで活動されている方はほかにもいるので、そういった方とYouTubeやイベントなどを一緒に企画していきたいなと思っています。

そうですね。ぜひ、積極的にアポを取っていったらいいと思います。

そうですね。僕は、かなり自分がやりたいことをできている状態なので、あとはもうガンガン前に進んでいくだけだなというところですね。
人が増えても、つながりを大事にしていきたい

これからどんどん人も事業所も増えていくと思うんですけど、事業所同士の交流は盛んにしていきたいと思っています。みんなが仲がいいというのは、リカバリーを実現するうえでも、すごく大事なことだと思うので。宴会もまた企画したいですね。
府中でも施設外就労が始まれば、新しい人が入ってきて、さらに人が増えていくと思います。そうやって広がっていく人のつながりをこれからも大事にしていきたいです。
それが、幸せを感じるための大事な要素だと思っています。

AI支援さんの導入や営業にも関わっていきたい

何か他に話したいことはありますか?

そうですね。これからやっていきたいことは、明確に持っています。
AI支援さんを企業にご紹介することも、AI支援さんの使い方についてお客さんにお話しすることもやりたいです。
お客さんのもとに直接行って説明して、「AI支援さんいいね」と思ってもらえる仕事にも関わっていきたいですね。
障害福祉のDXを推進する。
AI支援さんは、それを実現するためのパパゲーノのアプリケーションだと思っているので、そういう機会があればぜひいただきたいと思っています。
支援を大切にしながら、AI支援さんにも注力する

あとは、時間配分をどうするか次第って感じですよね。

そうですね。支援のほうもしっかりやりつつ、AI支援さんにも注力していきたいと思っています。
AI支援さん業務をお願いする中で、どんどん業務を覚えていくメンバーさんがいます。
日々支援をしていると「この人はもっといろんな仕事ができるだろうな」と感じる方がたくさんいらっしゃるんです。
そういった方々が理想の人生を歩めるような支援をパパゲーノの仲間たちと一緒にやっていきたいです。
同時に、自分自身の人生の課題にも精神障害にまつわるものが多かったのでその課題解決に生涯をかけて取り組んでいきたい。
それを、AIなどのテクノロジーを駆使して実現していきたいと思っています。
なので、今やっていることを着実に積み重ねつつ、新しいアイデアも思いついたら共有しながらどんどん進化していきたいですね。

ありがとうございます。

ありがとうございます。

ということで、パパゲーノの八幡山で支援員をやっていただいている、たくみさんのお話でした。
