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「ゆっくり、着実に・・」をモットーに障害のある方一人ひとりと向き合う【ワークショップ・かたつむり 施設長 森一生さん】

杉並区中野富士見町の就労継続支援B型事業所、「ワークショップ・かたつむり」施設長の森さんに、施設の日常や魅力について伺いました。

就労継続支援B型事業所とは?

障害者総合支援法で定められた就労に関する障害福祉サービスの1つ。

一般企業での就職が困難な方に、仕事の機会を提供する。

雇用契約を結ばない特殊な労働形態で、工賃が最低賃金を下回ることが多い。

令和3年度における就労継続支援B型事業所の平均工賃は月額16,507円。

ワークショップ・かたつむりの基本情報

施設名ワークショップ・かたつむり
障害福祉サービスの種別就労継続支援B型
生産活動自主製品製作・軽作業・印刷・パソコン作業
住所〒166-0012 
東京都杉並区和田1-5-18 アテナビル2階
(東京メトロ 丸ノ内線「中野富士見町」駅より徒歩10分)
運営団体社会福祉法人 かたつむり会
指定事業所番号1311501587
開所年月日平成9年4月14日
電話番号03-3381-4278
メールアドレスkata@jcpa.net
【就労継続支援B型とは?】利用条件や仕事内容、工賃などをわかりやすく解説

ワークショップ・かたつむりの日常

ワークショップ・かたつむりはどんな事業所?

さとみ
さとみ

森さん初めまして!本日はよろしくお願いします。

早速かたつむりさんの紹介をお願いできますか?

森

ワークショップ・かたつむりは、社会福祉法人かたつむり会が運営している就労継続支援B型事業所になります。

「ゆっくり、着実に・・」がモットーです。かたつむりってそういう生き物ですからね。

平成9年にスタートして、現在26年目になります。

登録利用者は27名で、1日平均17名ぐらいの方が通所されています。

通所頻度は様々で、決めた曜日にコンスタントに通っている方もいれば、登録だけあって3年ぐらい来られていない方もいますね。

元々は身体障害の方の受け入れから始まったんですけど、知的障害の方もだんだん増えてきて、今はこの2つの障害区分の方が大半を占めています。精神障害をお持ちの方も数人在籍されていて、三障害全ての方を受け入れています。

年齢も様々で、40代が1番多いですが、今日も最年少23歳の方と最年長75歳の方はいらっしゃっていますよ。

利用者さんはどういったところにお住まいの方が多いんですか?

森

一人暮らしかご家族と住まれている方がほとんどです。

ただ、今「8050問題」と社会的にも言われていると思いますけど、親亡き後の事を親御さんは考えたりしますので、グループホームにちょっとショートステイの体験に行ってみようかな、などは考えられている方も多い印象です。

どんな作業を行っているの?

さとみ
さとみ

作業はどんな事を行っていますか?

森

作業は主に「自主製品製作」「軽作業」「印刷」「パソコン作業」の4つです。

自主製品製作はビーズアクセサリーが売れ筋なんですけど、他にもグリーティングカードなどを作っていて、第1第3金曜日に杉並区役所で販売しています。

森

軽作業は用紙の封入、検品、組立作業などその時々によってバリエーションがあります。今はこの軽作業が売上の9割を占めています。

森

印刷はご近所のお店から依頼を受けてチラシを作ったり、名刺の印刷なども行います。

実はこの名刺も利用者さんが書いた字をデザインに使っているんですよ。

森

パソコン作業も常にある訳ではないんですが、データ入力や住所録の作成のような依頼が入った時にやっています。

皆さん障害の内容も度合いも違うので、適材適所でお仕事をしてもらっています。

例えば軽作業を担当する場合、封入はできるけどちょっと糊付けは難しいなとか、ラベルを貼るのにちょっと傾いちゃうな、という方に関しては封入専門でやってもらったり、「この人ならこの作業が得意」という工程をそれぞれ担当するようにしています。

工賃について

さとみ
さとみ

工賃についても教えていただいていいですか?

森

うちの平均工賃は23,615円ということで、ちょっとずつ上がってきてはいますね。通所率8割以上の方のみで平均を出すと31,392円まで上がります。

東京都も杉並区もここ数年、平均工賃が15,000円〜16,000円くらいなので、平均工賃が20,000円を超えている事業所は高い方ではあります。

ただ、障害者年金とこの工賃で生活できるかって言ったらなかなか厳しいところがあるので、もっともっと上を目指したいなと思っています。

たろう
たろう

工賃は時給制でお支払いしているんですか?

森

そうですね、時給制になります。

6段階のランクがあるので、ランクに応じて時給が変わってくるような形です。

就労についての考え方

さとみ
さとみ

長く利用される方が多いというお話でしたが、こちらを卒業していく方は次のステップとしてどんなところに行かれるのですか?

森

基本的に「就職目指して!」という感じではやっていないんですよね。うちはA型事業所でも就労移行支援でもないので。

例えば、利用者さんの中にも元々一般就労していて、頑張ればまた一般就労できるかもしれない、というような方がいます。でも彼はかたつむりの中に好きな作業があって、家でもやっているぐらいなんです。

じゃあその方が就職してもその作業を続けられるかって言ったらわからないじゃないですか。

であれば、好きな作業ができるかたつむりに通うのが彼にとってはいいと考えることもできるのかなと。

自然と出来上がってきた個々の役割

たろう
たろう

そろそろお昼の時間ですかね。お昼は皆さんどうされているんですか?

森

食堂などは特にないので、家から持ってきたりコンビニで買ってきたりして、自分の席で食べていただいてますね。

さとみ
さとみ

お昼以外の休憩時間はどのようなスパンで取られていますか?

森

皆さんバラバラです。それぞれ違う作業をしていますし、「これが1つ終わったら休憩しよう」とかそれぞれのタイミングもあるので、一斉に休憩するのはお昼だけです。

たろう
たろう

朝礼や終礼はありますか?

森

はい、5分ぐらいで短くやっています。今日の作業やお休みの方の確認など、利用者さんに司会をしてもらっています。

食事の準備も、本来職員がやるべき部分もあるのかもしれないですけど、トレーの準備をしたり、レンジでお弁当を温めるのを率先してやってくれる方がいたりしますね。

たろう
たろう

作業以外の部分でも、自然と出来上がってきた役割があるんですね

すぎなみ仕事ねっと

さとみ
さとみ

作業の受注はどのようにされているんでしょう?

森

杉並区のB型同士の作業シェアのネットワークがあるのは知っていますか?

「すぎなみ仕事ねっと」と言って、今23の事業所が加盟しているのですが、1つの事業所では内容や業務量的に受注できないような作業であっても、ネットワークを通じて分配することで受注ができるようにする仕組みです。

月1回定例会議があって、去年まで6年間僕が会長をやっていました。

仕事ねっとは工賃アップを目指していきましょうという趣旨があるんですが、B型事業所の中には「うちは工賃アップより利用者さんの居場所、サロンのような施設であることに重きをおいています」というところもあるので、前者のような目的が強い事業所が参加している感じです。

杉並区内のB型事業所であれば、申込をすれば入れますよ。

森

このカタログなどを経由して企業さんが電話をしてきてくれるので、清掃の依頼であれば清掃作業をやっている事業所さんに連絡をしたり、大口の仕事であればいくつかの事業所に依頼したりして仕事を分配していました。

大きい事業所であれば自分たちで営業に行っていたりするんでしょうけど、我々の場合だとネットワーク経由でもらったり、あとは「1回付き合ったらもう離さないよ」みたいな感じで、依頼元の期待に添えるように作業をしていますね。

今、定期的に仕事がもらえる会社が4つぐらいあるんですけど、やっぱりうちの規模で4つくらい継続の作業があれば、毎日安定して何かしらの作業が提供できると思います。

施設長としてのやりがい

さとみ
さとみ

最後に森さんご自身について少しおうかがいしたいのですが..。

森

このメガネについてですか?笑

子どもに踏まれちゃって、もったいないなーと思って補強したんですよ。割り箸とストローでできています。

下の子はまだいいんですけど、上の子は高校2年生なのでやめてって言われるんですよね。

でも「最初の給料で絶対にオトのメガネ買うからね」って言ってくれてます。

Q.森さんが考えるワークショップ・かたつむりの魅力を教えてください。

森

1つは、挑戦できる作業が多岐に渡るところかなと思います。

利用者さんによってはまだその方の能力が発揮されていない事もあったりして、そんな場合に「この方はこの分野に詳しいんだ、もっと伸ばしていこう」みたいなこともできたりするので。

もう1つは、とにかく明るいところですかね。

Q.事業所として支援の中で大事にしていることはありますか?

森

かっちりは決めていないです。

マニュアルに沿ってこういう時はこういう対応っていう、もちろんそういうのも重要なんですけど、それよりもやっぱり人として見ている。利用者と職員という立場じゃなくて基本的にこうね、同じ人間として。

あんまり上下とか、先生と生徒みたいな感じを作っちゃうと萎縮してしまうかなと思うので。

そもそも私が福祉関係でいろいろがっちり勉強してる人だったら多分こういう考え方ではないのかもしれないですけど、私自身ずっと社会福祉をやってきた訳ではないんですよ。

理系の大学を出て全然違う畑でスタートして、ここに入って施設長になったんです。

なんでこの人は困っているんだろうとか、一人の人間としてこの人はどういうことやりたいのかなとか、なんで昨日はこういうことだったのに今日はこうなっちゃったのかな、とかっていうのを考えながらやっていく。

だから特に統一した決まりとかがないっていうのがルールかもしれません。

Q.支援をしていて喜びを感じるのはどんな時ですか?

森

みんなで作業を終わらせた時とかは嬉しいですけど..利用者さんが通所してくれることが一番嬉しいですかね。

それは事業所を運営してるんだから当たり前かもしれないですけど、やっぱり「かたつむりなんて嫌だ、辞めて他のところに行きたい」っていう人がいたらそれは一番悲しいことだし。

もちろん就職を目指してやめるっていう人も中にはいますけど、基本的には辛くてやめるという人はいないので、利用者さんにとっていい環境を作れているのかなと思いますね。

まとめ

障害をお持ちで就労継続支援B型の利用を検討されている方へ

ワークショップ・かたつむりは、ご自身の興味や特性に応じて幅広いお仕事にチャレンジできる、明るく穏やかな雰囲気の事業所です。

B型事業所が初めてという方も、一度ご見学に来られると、安心して通所できる雰囲気を感じていただけるのではないかと思います。

身近に障害をお持ちの方がいらっしゃる方や地域の方へ

就労継続支援事業所は全国の自治体に設置されていますが、それぞれの施設の日常やそこで働く人の様子を知る機会はあまりないのではないでしょうか。

事業所のご紹介を通じて、少しでも身近なものに感じたり、理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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