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絵本を通して自分の思いを表現していきたい【未毬さん】

障害と向き合いながらもアートに関わってきた人生

さとみ
さとみ

パパゲーノに通所されている未毬(みまり)さんに、現在何をしているのか、今までどういったことをされてきたのか伺いたいと思います。よろしくお願いします!

未毬
未毬

未毬と申します。昨年12月からパパゲーノ Work & Recoveryに通所しています。精神障害者3級に認定されたのは2012年で、現在もメンタルクリニックに通っています。

今飲んでいる薬は、エビリファイ6mg1錠と、薬剤性パーキンソン症候群を防ぐエビリファイの副作用止めの薬を1錠。この2錠を毎晩寝る前に飲んでいるだけなのですが、薬が少ないし、症状も目立っていないから「仮病じゃないか」とか「障害が軽いから、重い人の気持ちが分からないんでしょ、あなたには」と言われることがあり、それ自体がとても辛くて、クリニックで相談することもありますね。

エビリファイは統合失調症の薬として知られていますが、私は明確に病名を告げられていません。ただ、今困っているのは、フラッシュバックがひどく、過去の出来事が鮮明に蘇ってきて、1日中そのことを考えてしまうことです。

未毬
未毬

あと今までのことですが、美術学校に入り、卒業してからもアート活動を続けてきました。でも描く絵が毎回違うスタイルになってしまい、それを「メンヘラ」や「多重人格」と言われたこともありました。

画風が定まらないことに劣等感も抱えていましたが、今ではそれを「隠れ家レストラン」のように、その日限りの特別なものとして捉えるようにしています。メニューがないレストラン、しかも不定休でたまにしかやってない、みたいな。笑

私の画風が定まらないことも、今では自分の個性として認められるようになりました。

喘息でほとんど小学校に行けなかった子供時代。それでも絵本制作や女子サッカーに触れていた

さとみ
さとみ

子供の頃はどんなふうに過ごされていたんですか?

未毬
未毬

実は小学生の頃、喘息でほとんど学校に行けなかったんです。近所の内科に入退院を繰り返していましたね。

そんな中、学童保育で作った絵本を、学校のみんなに褒めてもらった経験があります。今でもその喜びは忘れられません。
また、喘息はあったものの基礎体力はあったんです。それで子供の頃は女子サッカーが好きだったのですが、周りの活躍する友達と自分を比べて、劣等感に悩むこともありました。

さとみ
さとみ

小学校を卒業されたあとは、どんなことをされていましたか?

未毬
未毬

その後、中学・高校・短大と美術系の学校に進学しましたが、その後、職を転々としつつも、アート関連の職ではなく、一般的なビジネス系の仕事をしました。

それから2019年には、自分が障害者であることをオープンにして就職活動をしました。老人ホームのレクリエーション担当の仕事を見つけました。

障害者であることをオープンにして就職。老人ホームのレクリエーション担当でやりがいを実感

さとみ
さとみ

なぜ障害を持っていることをオープンにして、就職活動をされたのでしょうか?

未毬
未毬

万が一のことが起きた時に、障害を隠していたことが問題にならないようにするためです。「あなたの手が震えていたから助けられなかったんでしょ?」などという責任問題になることを、秘密にしたくはなくて。人の安全を第一にしたいので、必ずオープンにしたいと考えています。

未毬
未毬

また特に医療福祉の現場では、自分が経験した困難が他の人を助ける力になると信じています。私はヘレン・ケラーとサリバン先生の関係が大好きなのですが、サリバン先生も昔、精神科に入院していて、引きこもりのような状態だったという話を聞きました。自分が溺れている人は人を助けることができないという例えもあると思いますが、同じ思いをしたからこそ助けられるという面もあると思うんですよね。

さとみ
さとみ

なるほど。そういった思いがあったんですね。

さとみ
さとみ

老人ホームのお仕事で、何かやりがいを感じたことはありますか?

未毬
未毬

老人ホームのレクリエーションの仕事をしていたとき「人形レク」というものを考えました。入居者が人形を使って戦争体験などを話すことで、普段言えなかったことを自然に表現する機会を作ったんです。これにより、皆さんが新しい一面を見せてくれたのがとても印象的で、心からやって良かったと思いました。

パパゲーノではIT関連の作業や絵本作りに尽力

さとみ
さとみ

現在、パパゲーノではどういったことをされていますか?

未毬
未毬

今の私の日中の業務は、主にIT関連の作業で、外部の企業から依頼された営業リストの送信などをしています。IT関連のデスクワークは初めてで新鮮な体験です。また、午後には絵本制作にも取り組んでいます。もともと絵や小説を作っていたので、この仕事は自分に合っていると感じています。

さとみ
さとみ

自分に合った仕事ができるのは嬉しいですよね。

さとみ
さとみ

パパゲーノでの仕事を通じて感じたことがあれば教えてください。

未毬
未毬

以前勤めていた老人ホームのレクリエーションも、その内容を記録するデスクワークはしていませんでしたが、今後はそれが必要だと思うんです。そういうのをやっていかないと、次の仕事まで回らないというか。

再び老人ホームのレクリエーションに挑戦してみて、パパゲーノで働いた経験を活かし、情報管理や記録の仕事もやってみたいと思いました。パパゲーノのAI支援さんも老人ホームで使えるかもしれないと思っていて、提案してみようかと考えています。

絵本を通じて無気力感や葛藤を乗り越える方法を表現したい

さとみ
さとみ

絵本を作ろうと思ったきっかけや、どんなふうに作業を進めているのか、教えていただけますでしょうか?

未毬
未毬

絵本の制作ですが、最初は自分で原案を作り、それをChatGPTに読み込ませています。そうしたら、私が考えていた昼間を彷彿させる風景とは反対の、まるで夜のような景色がChatGPTから提案されました。正直、負けましたってなりましたね笑 そのアイデアに感銘を受け、ストーリーに取り入れることにしました。

未毬
未毬

パパゲーノの田中さんから「ChatGPTに振り回される必要はない」とのアドバイスを受けて、自分の軸を大事にしつつ進めています。今後は、絵を担当する方々と共に、チームで作品を仕上げていきます。文章の調整やページ構成の変更など、共同作業を大切にしながら進める予定です。

さとみ
さとみ

臨機応変に作業を行われているのですね。

さとみ
さとみ

絵本を通して読者に伝えたいことがあれば、教えていただけますか?

未毬
未毬

この絵本では、漠然とした無気力感から抜け出す方法を描こうと思っています。なぜなら、現代では見た目には何も問題がないのに、心が空っぽになってしまう人が多いと感じているからです。戦後の日本も同じように、表面的な繁栄の裏で、多くの人が心の葛藤を抱えていました。この絵本を通じて、そうした無気力感や葛藤を乗り越える方法を表現したいと考えています。

未毬
未毬

戦後からの切り替えの部分で、いろんな作家さんたちが、自ら命を絶ってしまうこともあったと思うんですよね。それは自分1人が苦しいってだけじゃなくて、何かをこの世の中に教えなければいけないという使命感からでもあったのではないかと思います。私自身、芸術家が使命感から自ら命を絶つような時代ではなく、作品を通じて自分の思いを表現できる社会を望んでいます。

自分らしく生きていける世の中を目指したい。私もあなたも共に頑張りましょう

さとみ
さとみ

貴重なお話をありがとうございました。最後にみなさんにメッセージがありましたら、ぜひお伝えください。

未毬
未毬

障害のある人もない人も、自分らしく生きていける世の中を目指したいです。まずそれには自分が先陣を切って表現していくっていうのが、自分の生きるテーマですよね。ちょっと大きなことを言ってしまいましたが。笑

私も頑張りますので、皆さんも頑張ってください。