高校卒業後に郵便局へ就職し、その後、約5年間の引きこもり生活を経験した勝山佳祐さん。
市役所の相談員との出会いをきっかけに福祉の仕事を志し、現在は就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」で支援に携わっています。
これまでの歩みや福祉業界に入った経緯、パパゲーノへの入社を決めた理由、勝山さんが考える「リカバリー」について伺いました。
自己紹介

今日は、2026年1月にパパゲーノへ入社した勝山さんに、これまでの歩みや現在の仕事について、いろいろとお話を伺っていきます。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

勝山佳祐と申します。前職では、パパゲーノと同じAHCグループの軽作業などを行うB型事業所で支援員をしていました。さらにその前は、郵便局で配達員として働いていました。本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。
郵便局で感じた仕事の楽しさ

ここからは、これまでの歩みをもう少し詳しく伺っていきたいと思います。高校卒業後はすぐに郵便局で働き始めたとのことですが、実際に働いてみてどうでしたか?

郵便局の仕事は楽しかったです。もともとバイクが好きだったので、バイクに乗って配達できるのも自分に合っていました。外に出ること自体が気分転換になりましたし、配達の仕事は、自分で言うのもなんですが、比較的向いていたのかなと思います。仕事ぶりを褒めてもらうことも多く、上司にもかわいがっていただきました。

郵便局にはどのぐらい務めていたんですか?

郵便局は6年ぐらい務めていました。

人間関係の変化をきっかけに、約5年間のひきこもり生活へ

郵便局を辞めた後は、転職したんですか?

転職というか……その後、精神的に大きく調子を崩した時期がありました。
当時、ある一人の人に強く依存していたのですが、その人との関係が破綻したことで、それまで自分を支えていたものが、すべて崩れてしまったような感覚になりました。
そこから外に出ることが難しくなり、仕事もせず、ひきこもって過ごす時期が5年ほど続きました。

一人の人との関係に強く依存していたからこそ、その関係が崩れたときに、生活全体も崩れてしまったということだったんですね。
ひきこもっていた時期は5年ほどとのことでしたが、ご家族とも離れて、ずっと一人で過ごしていたのでしょうか?

一度は実家に戻りました。ただ、しばらくすると「いつまで家にいるんだ」というような雰囲気になってしまって、居づらさを感じるようになりました。
結局、もう一度実家を出て、一人で暮らすことになりました。

そうすると、身近に頼れる人も少ない状況だったんですね。

幸運なことに、知り合いに大家さんをしている方がいて、「ちょうど空いている部屋があるから使っていいよ」と声をかけてくれました。今振り返ると、それがすごく大きな助けだったと思います。
市役所の相談員との出会いをきっかけに、福祉の仕事へ

その後、AHCグループの「TODAY喜多見」で働くことになりますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

当時、市役所が行っていた社会復帰に向けたプログラムに参加していました。レクリエーションのような活動や就労訓練をしたり、相談員さんと「どのような仕事をしてみたいか」「そのために、どのような支援先につなげられるか」といったことを一緒に考えたりしていました。
その相談員さんがとても親身になってくれる方で、いろいろと勇気づけてもらいました。関わっていく中で、「自分もこういう人になりたい」と思っていたことに、自然と気づいたんです。その方との出会いが、福祉の仕事を目指そうと思った最初のきっかけでした。

自分がつらい状況にいたときに支えてもらったことで、こういう仕事があるのだと知ったんですね。その方との出会いが大きかったのでしょうか?

そうですね。

そこから、TODAY喜多見につながったんですか?

はい。その相談員さんから、「福祉の仕事に興味があるなら」と、TODAY喜多見を紹介してもらいました。
TODAY喜多見は、相談に通っていた狛江市役所とつながりがあり、当時住んでいた場所からも歩いて行けるほど近かったんです。そうしたご縁があって、TODAY喜多見で働くことになりました。
TODAY喜多見で、パパゲーノとのつながりが生まれる

TODAY喜多見で、現在は「パパゲーノ Work & Recovery下高井戸」で働いている荒井さんと出会いました。
ちょうどその頃、パパゲーノが提供する福祉現場向けのサービス「AI支援さん」がTODAY喜多見に導入される話や、パパゲーノの用賀拠点が新たに立ち上がる話も出ていたんです。

その頃から、一気にパパゲーノとの距離が近くなったんですね。

そうですね。その後、荒井さんからパパゲーノの話を聞く機会もあり、「すごくいいところなんだな」という印象を持っていました。
入社の決め手は、代表の自己紹介動画

順番が前後してしまいましたが、勝山さんがパパゲーノへの入社を決めた理由についても聞かせてください。

見学に来たときに、やすまささんと一緒にお昼ご飯を食べに行きましたよね。
最初は、学歴もあって若くして会社を経営しているやすまささんを見て、「自分とは違う世界の人なのかな」と、少し距離を感じていた部分がありました。

(照れ笑い)

ちょうどその頃、やすまささんの本が出版されて、僕も購入して読んだんです。それに加えて、やすまささんがご自身のことを語っている自己紹介動画も見ました。
自己紹介動画では、ご自身のことを割と赤裸々に話していましたよね。子どもの頃に一人でパソコンを触って遊んでいたという話などを聞いて、「ああ、同じ人間なんだな」と思って(笑)。そこから一気に親近感が湧いたのを覚えています。

動画を出したり、noteを書いたりしていてよかったです(笑)。
パソコンに親しんできた経験と「自ら調べる力」

僕の中では、勝山さんはITスキルが高く、TODAY喜多見でもその力を生かして活躍していたという印象があります。
荒井さんからも「パパゲーノに合っているんじゃないか」と聞いて、「ぜひ選考を受けてもらおう」となった記憶があります。実際のところ、ご自身ではITスキルについてどう感じていますか?

正直なところ、専門的な知識があるわけではないんです。子どもの頃から家にパソコンがあったので、自分で触ったり、簡単なWebサイトを作ったりして遊んでいました。
今の複雑なコードになると、AIに聞かないと分からないことも多いです。ただ、タイピングには慣れていますし、IT分野の用語も、見れば「だいたいこういうことを言っているんだな」と分かるくらいのレベルだと思います。

実際の仕事では、最初から何でも知っていることより、分からないことをきちんと調べて、前に進められることのほうが大切ですよね。
勝山さんはTODAY喜多見でもそれが出来てと聞いていますし、その「自分で調べて前に進める力」は、実際の仕事でもとても大切なスキルだと思います。
「支援員7原則」への共感と、前職との違い

パパゲーノの支援員の仕事は、実際にやってみてどうですか?

前職との違いがあまりにも大きくて、同じ就労継続支援B型事業所とは思えない部分があります。
もともと僕は、やすまささんや、恵人さんの支援に対して、憧れや尊敬の気持ちを持っていました。
特に「支援員7原則」には、本当にその通りだと思うことしか書かれていなくて、すごく共感しました。「こういうところで働きたいな」と素直に思ったのを覚えています。

前職とは、具体的にどのような違いを感じましたか?

前職では、利用者さん一人ひとりに合わせた個別のルールが多かったように思います。
もちろん、人と人との関わりなので、「この方にはこの職員が対応する」「この方にはこの言葉を使わない」といった配慮が必要なこともありますし、パパゲーノでもそうした対応はあると思います。
ただ、それとは別に、暗黙の了解になっていたり、明文化されていなかったりするルールがとても多かったと感じています。前職を批判したいわけではなく、そうしたルールが増えていく事情もあったのだと思います。

支援員7原則の中でも、ほかの事業所と少し異なる視点の一つが、「ルールをなるべく増やしすぎない」という考え方です。
福祉の現場では日々さまざまな出来事が起こるので、「こういう場合は、このように対応しよう」というルールが増えていくのは、自然なことだと思います。
ただ、ルールによっては、利用者さんの可能性を狭めてしまうこともあります。ルールをつくるとしても最低限にとどめたり、定期的に見直したりする視点を忘れないために、あえて原則として明文化しています。

その考え方には、とても共感しています。
郵便局で働いていた頃も、厳格なルールの中で、「ここはもう少し変えたほうがいいのでは」と感じることがよくありました。そうした経験も、支援員7原則への共感につながっているのだと思います。

実際に働いてみて、「自分も実践していけそうだ」という感覚はありますか?

実践していけそうだという手応えがある一方で、「自分は大丈夫だろうか」という不安もあります。
パパゲーノは勢いのある会社だと感じているので、その中で自分だけ取り残されてしまわないか、うまくついていけるだろうかという不安はあります。

(笑って、深くうなずきながら)大丈夫ですよ。

ただ、その不安は、「よし、頑張るぞ」というワクワク感の裏返しでもあると思っています。不安な気持ちも大切にしながら、これから頑張っていけたらと思います。

勝山さんが考える「リカバリー」とは

勝山さんが考える「リカバリー」や「回復」の意味についても、ぜひ聞かせてください。

僕自身、本当にどん底と言っても差し支えないような時期を過ごしてきました。
そうした状況の中でも、「少しならやれるかもしれない」と思えるタイミングはあるんです。ただ、その後に「やっぱり無理だな」と感じてしまうこともありました。
そうした調子の波は、再び働き始めてからもなくなったわけではありません。前職のTODAY喜多見でも、しばらく仕事を休んだ時期がありました。
自分が再び働けるようになった過程を振り返ってみても、ある時点からずっと右肩上がりに調子が良くなったわけではありませんでした。
良くなったと思ったら、また調子を崩すこともある。リカバリーは、一直線に良くなっていくことではないのだと思います。
でも、「自分はこういうときに調子を崩しやすい」といった、自分の傾向を知っていれば、対策も考えられると思うんです。
「傾向と対策」のような感じで、自分自身のことを知っていくことと、それに合わせて準備をしていくことが大切なのだと思います。


「リカバリー」や「回復」と聞くと、できなかったことができるようになって、「これでもう大丈夫です」と社会復帰するようなイメージを持ちやすいですよね。
でも、実際はそうではなくて、良いときもあれば、また調子を崩すときもある。その波を繰り返す中で、自分に合った準備や対処が少しずつできるようになり、良い状態を保ちやすくしていくということなんですね。

そうですね。
それに、リカバリーを考えるうえでは、必ずしも働いていなければならないわけではないのかなとも思っています。
もちろん、多くの人にとっては、働くことが社会参加につながったり、「自分も社会の役に立っている」と感じられたりするので、良い影響があると思います。
ただ、すべての人がそうとは限らないと思うんです。働いているかどうかにかかわらず、その人が前向きに、楽しく生きていられるのであれば、それがその人にとっての良い状態なのではないかと、僕は考えています。

雇用契約を結んで、平日に週5日働くことが、あまりにも求められているように感じますよね。
でも、社会とつながりを持ったり、何かの形で少しでも貢献したりすることは、雇用という形でなくてもできると思います。就労継続支援B型での活動もその一つですし、ボランティアや、ご家族・友人との関わりもあると思います。
もちろん、対人関係だけがすべてというわけでもありません。社会とのつながり方や、その人が良い状態でいられる生き方には、いろいろな形があって良さそうですよね。
今後の挑戦―府中の新拠点づくりへ

最後に、今後パパゲーノで挑戦していきたいことを教えてもらってもいいですか?

府中の新しい拠点を頑張っていきたいですね。

そうですね。パパゲーノ Work & Recoveryでは、新たな拠点の開所準備を進めています。勝山さんにも立ち上げメンバーとして入ってもらう予定なので、ぜひ一緒に盛り上げていきましょう。

頑張ります!
※インタビュー後、パパゲーノ Work & Recovery府中は無事に開所し、現在は利用者さんを迎えて運営しています。

